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2009年06月18日

クラシック(23)-ヴァーグナー(2)-ニーベルングの指輪

 クラシック(23)-ヴァーグナー(2)-ニーベルングの指輪
 Rheingold ‎von Wikipedia. (ラインの黄金)
 Bühnenbildentwürfe für das Festspielhaus Bayreuth von Josef Hoffmann (1876) 
 ヨーゼフ・ホフマンによるバイロイト祝祭劇場のための風景デザイン
 
 (旧暦  5月26日)

 Chorus mysticus
                  
 Alles Vergängliche                 
 Ist nur ein Gleichnis;               
 Das Unzulängliche                
 Hier wird's Ereignis;            
 Das Unbeschreibliche             
 Hier ist's getan;               
 Das Ewig-Weibliche             
 Zieht uns hinan.                

 (Faust, der Tragödie zweyter Theil.)     

 神秘の合唱
 
 すべての移ろいゆくもの
 ただ譬喩にすぎず;
 満ち足りなきもの
 ここに出来事となる;
 表し難きもの
 ここに成されたり;
 永遠にして女性的なるもの
 我らを昇らしむ。


 『ファウスト 悲劇第二部』(1831)より 嘉穂のフーケモン 拙訳

 ヴィルヘルム・ リヒャルト・ヴァーグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813~1883)の書いた楽劇『ニーベルングの指輪』(Der Ring des Nibelungen)は、1876年8月13日、バイロイト祝祭劇場(Bayreuther Festspielhaus)における第1回バイロイト音楽祭(Bayreuther Festspiele)にて、多くの王族や芸術家を集めて初演されました。
 その主な人々だけでも、以下のような錚錚たる人々でした。

 face01 Ludwig II. (1845~1886、在位1864~1886)、悲劇の第4代バイエルン国王ルートヴィヒ2世
 face02 Wilhelm I. (1797~1888、在位1871~1888)、初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世
 face03 Pedro II. (1825~1891、在位1831~1889)、第2代ブラジル皇帝ペドロ2世
 face04 Franz Liszt (1811~1886)、ハンガリーのピアニスト・作曲家フランツ・リスト
 face05 Josef Anton Bruckner (1824~1896)、オーストリアの作曲家アントン・ブルックナー
 face07 Camille Saint-Saëns (1835~1921)、フランスのオルガニスト、ピアニスト、作曲家シャルル・カミーユ・サン=サーンス
 face08 Johannes Brahms (1833~1897)、ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者 ヨハネス・ブラームス
 face09 Anton Grigoryevich Rubinstein (1829~1894)、ロシアの作曲家、ピアニスト、指揮者アントン・グリゴリエヴィチ・ルビンシテイン
 face10 Edvard Hagerup Grieg (1843~1907)、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ
 face12 Peter Ilyich Tchaikovsky (1840~1893)、ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキー
 face05 Charles François Gounod (1818~1893)、フランスの作曲家シャルル・フランソワ・グノー
 face11 Karl Klindworth (1830~1916)、ドイツの作曲家・ヴァイオリン奏者・音楽教師カール・クリントヴォルト

 Die Uraufführung des gesamten Rings fand am 13. August 1876, einem Sonntag, mit dem Vorabend Das Rheingold im Bayreuther Festspielhaus statt. Der deutsche und brasilianische Kaiser, einige Könige und Fürsten und viele Künstler, unter ihnen Franz Liszt, Anton Bruckner, Camille Saint-Saëns,Johannes Brahms, Anton Rubinstein, Edvard Grieg, Peter Iljitsch Tschaikowsky, Charles Gounod und Karl Klindworth wohnten dem außergewöhnlichen Kunstereignis bei, denn niemals zuvor hatte ein Künstler zur Aufführung eines seiner Werke ein eigenes Theater bauen lassen, um Festspiele zu veranstalten.
 「序夜を伴う3夜の舞台祝典劇」( Ein Bühnenfestispiel für drei Tage und einen Vorabend )と題する4日間の内訳は、

 1. Das Rheingold (Vorabend); 序夜 『ラインの黄金』 2時間40分 
   全1幕4場からなり、ラインの河底にある黄金をめぐっての天上の神々、地上の巨人、地下のニーベルング(死の国の人)の小人たちが争う由来を説明する。

 2. Die Walküre (Erster Tag); 第1日 『ワルキューレ』 3時間50分
   全3幕11場からなり、神々が欲望と自身の救済のために地上に人間の世界を創造し人間と結びつくが、逆に堕落して次第に神々の没落を招いてゆくことを語る。

 3. Siegfried (Zweiter Tag); 第2日 『ジークフリート』 4時間
   全3幕9場からなり、神々の主神ウォータンの世界支配の欲望を、ジークリンデの宿した子ジークフリートを通じて実現させようとする。

 4. Götterdämmerung (Dritter Tag); 第3日 『神々の黄昏』 4時間30分
   序幕と3幕11場からなり、神々の世界支配の野望も、自らの策略と指輪の魔力および人間の女性の献身的な愛情によって達成されず、かえって神々は没落してゆく。


 クラシック(23)-ヴァーグナー(2)-ニーベルングの指輪
 Götterdämmerung von Wikipedia.(神々の黄昏)

 ヴァーグナーは上演後の晩餐会で、ゲーテの『ファウスト』の最後の「神秘の合唱」(Chorus mysticus)を引用して自らの解釈を示したと伝えられています。

 ゲーテが言う「すべての移ろいゆくもの」(Alles Vergängliche)には芸術も含まれるが、「映像」あるいは「譬喩」(ein Gleichnis)でしかないその芸術が表しているのは永遠なるものである。たとえ芸術が「満ちたりなきもの」(Das Unzulängliche)であったとしても、それは「出来事」(Ereignis)として認められなければならない。

 そして、「永遠にして女性的なるもの」(Das Ewig-Weibliche)こそ真の理念(Idee)であり、その理念が芸術をその極みまで引き上げて(hinanziehen)、新たな芸術を生み出す。

 ゲーテの『ファウスト』におけるかつての恋人グレートヒェンの「永遠にして女性的なるもの」(Das Ewig-Weibliche)、つまり女性の献身的な愛情こそ人生を救済するという思想が、長大な『ニーベルングの指輪』(Der Ring des Nibelungen)の結論であるとも考えられています。

 さて、楽劇『ニーベルングの指輪』4部作は、58,62,64,65年のショルティ指揮ウィーン・フィルによるデッカ盤、67年のカール・ベーム指揮バイロイト祝祭オーケストラによるフィリップス盤、66~70年のカラヤン指揮ベルリン・フィルによるドイツ・グラモフォン盤、53年のフルトヴェングラー指揮ローマ・イタリア放送管弦楽団によるEMIクラシックス盤などが有名ですが、私「嘉穂のフーケモン」は、1949年12月19日にフルトヴェングラーがベルリン・フィルを指揮した「ジークフリートの葬送行進曲」や1952年4月8日にウィーン・フィルを指揮した「ジークフリートのラインへの旅」などの抜粋版を聞いておりもす。

 なんせ、長過ぎますけんの!

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 19:01│Comments(1)音楽/クラッシック
この記事へのコメント
博識ですね∀!
賢人と出会えて感激であります
Posted by わかん at 2010年01月05日 20:05
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