さぽろぐ

  文化・芸能・学術  |  札幌市中央区

新規登録ログインヘルプ


スポンサーリンク

上記の広告は、30日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  
Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2017年10月17日

数学セミナー(31)− ロバートソン・ウォーカー計量(1)

  

  

  Diagram of evolution of the (observable part) of the universe from the Big Bang (left) - to the present.

 (旧暦8月28日)

  神嘗祭
  昭和22年(1947)までの祭日。宮中祭祀の大祭で、その年の初穂を天照大御神に奉納する儀式が行われる。かつては旧暦9月11日に勅使に御酒と神饌を授
  け、旧暦9月17日(旧暦)に奉納した。明治6年(1873)の太陽暦採用以降は新暦の9月17日に実施となったが、稲穂の生育が不十分な時期であるため、明
  治12年(1879)以降は月遅れとして10月17日に実施されている。


  観測可能な宇宙、少なくとも距離にして約3億光年よりも遠い宇宙では、どの方向を見ても同じように見えます。
  この等方性は、宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background (radiation):CMB)においては更に正確になります。

  宇宙マイクロ波背景放射(CMB)は、宇宙を一様に満たす2.73K(-270.42℃)の黒体放射のことで、1964年にアメリカ合衆国の当時のベル電話研究所
  (Bell Laboratories)のアーノ・アラン・ペンジアス(Arno Allan Penzias, 1933〜)とロバート・ウッドロウ・ウィルソン(Robert  Woodrow  
  Wilson,1936〜 )によってアンテナの雑音を減らす研究中に偶然に発見されました。

  

  Penzias and Wilson stand at the 15 meter Holmdel Horn Antenna that brought their most notable discovery.

  現在では、ビッグバン宇宙論の最も重要な観測的証拠とされています。

  初期宇宙の気体を構成する分子が部分的または完全に電離し、陽子と電子に別れて自由に運動しているプラズマ状態では、放射は陽子や電子などの荷電粒子と頻繁に衝突を繰り返し、放射と物質は一体となって運動していました。

  温度が約4,000 K (3,726.85℃)に下がった時、陽子が電子を捕獲して中性水素原子を作った結果、放射は物質と衝突せずまっすぐ進めるようになり、この時の放射が宇宙膨張によって波長が伸びて、現在2.73K(-270.42℃)の放射として観測されたのが宇宙マイクロ波背景放射であると説明されています。

  

  All-sky mollweide map of the CMB(cosmic microwave background), created from 9 years of WMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe) data.

  さて、宇宙が等方性をもち、かつ一様であるという仮定により、時空の計量(リーマン幾何学において、空間内の距離と角度を定義する階数2のテンソル)が単純な形となる座標系を選ぶことができます。

  この計量は、1922年、旧ソビエトの宇宙物理学者・数学者のアレクサンドル・アレクサンドロヴィチ・フリードマン(Александр Александрович Фридман, 1888〜1925)が、アインシュタインの場の方程式の解として、膨張宇宙のモデルを定式化したことで知られています。

  

  Alexander Alexandrowitsch Friedmann(1888〜1925)

   1924年1月7日にブリュッセル科学アカデミーによって出版されたフリードマンの論文 “Über die Möglichkeit einer Welt mit konstanter negativer Krümmung des Raumes”『負の定数曲率を持つ宇宙の可能性について』において彼は、正、ゼロ、負の曲率を持つ3つの宇宙モデル(フリードマンモデル)を取り扱っています。

  



  やはり、1920年代に、アメリカ合衆国の数学者・物理学者ハワード・ロバートソン(Howard Percy Robertson、1903〜1961)とイギリスの数学者アーサー・ジョフリー・ウォーカー(Arthur Geoffrey Walker、1909〜2001)は、別々に、等方性と一様性の仮定のみから、アインシュタインの場の方程式の解を導いています。

  


  したがって、ほぼ全ての現代宇宙論においては、最低でも第1近似として、このロバートソン・ウォーカー計量を用いているとされています。

  ロバートソン・ウォーカー計量においては、3次元空間の構造は以下のように仮定します。
    ①3次元空間は、一様(homogeneousu)に広がっている
    ②3次元空間は、どの方向も同じ(等方的:isotropic)


  これら2つの仮定は、宇宙原理(cosmological principle)と呼ばれています。

  物理学では時空のひとつの点を表すのに、4つの座標を用います

  

  前にも示したように、計量テンソル(metric tensor)は、リーマン幾何学において、空間内の距離と角度を定義する階数2のテンソルです。
  ここで宇宙の計量を、

  

とおきます。
 
  物理法則がすべての可能な座標系に対して同一の形式で成立するためには、一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)では、

  

  これは、宇宙原理(cosmological principle)に従うと、任意の点のまわりで球対称にならなければならないので、以前、シュバルツシルト(Karl Schwarzschild:1873〜1916)の特殊解を求めた時と同じように、球対称で自転せず、かつ真空な時空という条件は、以下のようになります。

    続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 20:53Comments(0)数学セミナー

2014年04月05日

数学セミナー(30)− 調和座標

 

  P. A. M. Dirac an der Tafel

 (旧暦3月6日)

 



  達治忌

  詩人、翻訳家三好達治の昭和39年(1964)の忌日。
  大阪市に生まれ、大阪府立市岡中学を学費が続かず退学後、大阪陸軍地方幼年学校を経て陸軍中央幼年学校本科に入学。大正9年(1920)、陸軍士官学校本科に入学するも翌年、北海道まで脱走して退校処分となった。大正11年(1922)、第三高等学校文科丙類を経て東京帝国大学文学部仏文科を卒業。三高で同級の丸山薫の刺激により詩作を始め、桑原武夫、梶井基次郎、河盛好蔵、吉川幸次郎らを知り、東大では小林秀雄、中島健蔵、今日出海、淀野隆三、堀辰雄らと交友した。

 『雪』

 十一月の夜をこめて 雪はふる 雪はふる

 黄色なランプの灯の洩れる 私の窓にたづね寄る 雪の子供ら

 小さな手が玻璃戸を敲く 玻璃戸を敲く 敲く さうしてそこに

 息絶える 私は聴く 彼らの歌の 静謐 静謐 静謐

 



  今回も、ディラック先生の『一般相対性理論』の第22章「調和座標」について考えてみませう。 

 “General Theory of Relativity” P.A.M.DIRAC 22. Harmonic Coordinates

  ディラック先生(Paul Adrien Maurice Dirac、1902〜1984)は、イギリスのブリストル大学で電気工学を学んだ後、1923年にケンブリッジのセント・ジョンズ・カレッジ(St John's College)で数学の研究生となりました。

  1928年、先生は「フェルミ粒子」を記述するところの「ディラック場」が従う基礎方程式であるディラック方程式を提唱しました。
  「フェルミ粒子」(Fermion)とは、スピン角運動量の大きさが (プランク定数 h を 円周率 π の 2 倍で割った量)の半整数 (1/2, 3/2, 5/2, …) 倍の量子力学的粒子であり、その代表は電子になります。そして、その名前の由来は、イタリア=アメリカの物理学者エンリコ・フェルミ (Enrico Fermi、1901〜1954) に依っています。
  また、「ディラック場」(Dirac field)とは、スピン角運動量(spin angular momentum)1/2 のフェルミ粒子を記述するスピノル場(Spinor field、整数または半整数のスピンSの粒子を記述している)と定義されています。

  ディラック先生は、この方程式から導かれる電子の負のエネルギー状態について、いわゆる「ディラックの海」(Dirac sea)と呼ばれる理論を提案しました。この理論では、電子の電荷と符号が逆で大きさは同じ電荷を持ち、電子と同じ質量を持つ粒子(反粒子)の存在が提起されています。先生は当初、この新粒子を陽子ではないかと考えたようですが、後に電子の反粒子である陽電子が、1932年にアメリカの実験物理学者カール・デイヴィッド・アンダーソン(Carl David Anderson、1905〜1991)によって発見されています。

  「ディラックの海」は、相対論的量子論である「ディラック方程式」を解くと出てくる負のエネルギー電子を再解釈して生まれた負のエネルギーで満ちた真空のことですが、光瀬龍原作のSF小説「百億の昼と千億の夜」(萩尾望都により漫画化されている)にも登場しています。

 この萩尾望都の漫画が実に印象に残っています。

 


  『アスタータ50惑星開発委員会』が「シ」の命を受けて行う『ヘリオ・セス・ベータ型開発実験』、アトランティスはその一環としてポセイドン神の管理を受けていたが、ポセイドン神の意に逆らったアトランティスはバランスを失い、街の半分を闇にのまれて滅びた。
  (中略)
  アトランティスの司政官オリオナエ(哲学者プラトンの意識上の分身)は、球体を組み替えて、神のすみか「D座標」に通じる門を作る。その門は、オリハルコンの枠組みに「ディラックの海」のマイナスエネルギーが流れ込み、「D座標」への新しい道を作る装置で、門をくぐった悉達多(シッタータ)、阿修羅、オリオナエの三人は虚数世界に迷いこんでしまう。オリハルコンのかけらがない今、
脱出に失敗すれば「ディラックの海」―完全な無に還元される。
  (後略)


  The Dirac sea is a theoretical model of the vacuum as an infinite sea of particles with negative energy. It was first postulated by the British physicist Paul Dirac in 1930 to explain the anomalous negative-energy quantum states predicted by the Dirac equation for relativistic electrons. The positron, the antimatter counterpart of the electron, was originally conceived of as a hole in the Dirac sea, well before its experimental discovery in 1932.
 ( From Wikipedia)

  ディラックの海は、負のエネルギーを持った粒子の無限の海として、真空の理論的なモデルである。それはディラック方程式によって相対論的な電子のために予測された異例な負のエネルギーの量子状態を説明するために、1930年にイギリスの物理学者ポール・ディラック(Paul Adrien Maurice Dirac,1902〜1984)により最初に仮定された。電子の反粒子である陽電子は、1932年の実験的な発見の前には、ディラックの海の穴として、当初は考えられた。(Wikipediaより)


 ディラック先生は、1933年にオーストリア出身の理論物理学者エルウィン・シュレジンガー(Erwin Rudolf Josef Alexander Schrödinger、1887〜1961)と共に、「新形式の原子理論の発見」(for the discovery of new productive forms of atomic theory)の業績によりノーベル物理学賞を受賞しています。

  さて、本題に入ります。

 The laws of physics must be valid in all systems of coordinates. They must thus be expressible as tensor equations. Whenever they involve the derivative of a field quantity, it must be a covariant derivative. The field equations of physics must all be rewritten with the ordinary derivatives replaced by covariant derivatives. For example, the d’Alembert equation □V = 0 for a scalar V becomes, in covariant form

 

This gives, from (10.1) and (10.5)


 

 Even if one is working with flat space (which means neglecting the gravitational field) and one is using curvilinear coordinates, one must write one’s equations in terms of covariant derivatives if one wants them to hold in all systems of coodinates.
   “General Theory of Relativity” P.A.M.DIRAC 10. Covariant differentiation


 物理法則は、どんな座標系においても、あまねくなりたつのでなければなならい。だから、そのなかに場の量の微分が含まれるとき、それは共変微分でなければならない。物理学における場の方程式は、すべて書きかえて、ふつうの微分を共変微分に直す必要がある。
 たとえば、スカラー場に対するダランベールの方程式□V =0の共変な形は、


 

である。これは、(10.1) 、(10.5)により

 

をあたえる。
  たとえ空間を平らだとして(すなわち重力場を無視して)曲線座標をもちいるとしても、方程式が任意の座標系でなりたつようにしたいならば、それは共変微分で書かなくてはいけない。

   『一般相対性理論』 P.A.M.ディラック 10.共変微分 (江沢 洋訳)


 ちなみに、(10.1) 、(10.5)とは、下記のように式になります。

 

  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 07:29Comments(0)数学セミナー

2013年07月11日

数学セミナー(29)—ガウスの定理、ストークスの定理

 
 

 The title page to Green's original essay on what is now known as Green's theorem.

 

 George Green (1793 〜1841) was a British mathematical physicist who wrote An Essay on the Application of Mathematical Analysis to the Theories of Electricity and Magnetism (Green, 1828). The essay introduced several important concepts, among them a theorem similar to the modern Green's theorem, the idea of potential functions as currently used in physics, and the concept of what are now called Green's functions. Green was the first person to create a mathematical theory of electricity and magnetism and his theory formed the foundation for the work of other scientists such as James Clerk Maxwell, William Thomson, and others. His work on potential theory ran parallel to that of Carl Friedrich Gauss.








 (旧暦6月4日)

 

 

 ここで、座標変換を施しても形式が変化したりはしない性質を「共変形式」と云いますが、「共変微分」とは共変形式を作る微分ということになります。 

 ただし、

 

 したがって、

 

 さらに、

 

 から、

 

 

 積分領域が4次元時空の有限体積ならば、右辺はガウスの定理によって3次元の表面積分に変換できます。

 ガウスの定理とは、発散定理(divergence theorem)とも呼ばれ、「ベクトル場の発散をその場によって定義される流れの面積分に結び付けるもの」です。

 1762年にフランスで活動した数学者・天文学者のラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange、1736〜1813)によって発見され、その後1813年にドイツの数学者・天文学者ガウス(Carolus Fridericus Gauss、1777〜1855)、1825年にイギリスの物理学者・数学者グリーン(George Green、1793〜1841)、1831年にロシアの数学者・物理学者オストログラツキー(Михаи́л Васи́льевич Острогра́дский、1801〜1862)によってそれぞれ独立に再発見されました。

 

 Mikhail Vasilyevich Ostrogradsky

 

 

 

 

 

 このことから、

   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 15:49Comments(0)数学セミナー

2012年11月11日

数学セミナー(28)ーテンソル密度

 

 空間の3個の次元のうち、2個のみを示したミンコフスキー空間の図

 (旧暦9月28日)

 数学セミナーと銘打って長々と書いてきましたが、その内容は結局は近代物理学の発展の歴史でした。
 それならば物理学セミナーと名前を変更すれば良いのでしょうが、ま、現代物理学もあらゆる数学概念を駆使して表されている以上、ここまで来た愛着もあるので、このまま数学セミナーという項目で続けましょう。

 前回まで、一般相対性理論で示されたアインシュタインの重力方程式を導きだし、その厳密解であるシュヴァルツシルト解を解いて、19世紀初頭にすでにブラックホールの存在を示唆することになったシュバルツシルト半径を求めました。

 ところで、アインシュタインの重力方程式の厳密解はこのシュヴァルツシルト解のほかに、いくつか見つけられています。

 1. シュバルツシルト解(Schwarzschild solution) (1916)
  ドイツの天文学者、天体物理学者カール・シュヴァルツシルト (Karl  Schwarzschild、1873〜1916)が、砲兵技術将校として第一次世界大戦時の東部戦線に従軍中に導き出した解で、球対称で自転せず且つ真空な時空を仮定してアインシュタインの重力方程式を初めて解いたもの。

 

 2. ライスナー・ノルドシュトロム解(Reissner‐Nordstrøm solution) (1916,1918)
   球対称で自転せず且つ真空な時空はシュバルツシルト解と同じ条件ですが、天体が電荷を持っている点が異なり、ドイツのライスナーが1916年に点電荷の場合について解き、フィンランドのノルドシュトロムが球対称の電荷分布に拡張したもの。

 

 3. カー解(Kerr solution) (1963)
  真空中を定常的に回転する軸対称なブラックホールを表現しており、ニュージーランドの数学者ロイ・カー(Roy Kerr)によって1963年に発見されました。

 

 4. カー・ニューマン解(Kerr‐Newman solution) (1965)
   回転する電荷を帯びたブラックホールを表現する軸対称時空の計量 (metric)で、1965年にアメリカのニューマン (Ezra T. Newman) らによって発見されました。質量・角運動量・電荷の3つのパラメータを持つブラックホール解として、一般相対性理論の描く時空の姿の理解に広く使われています。

 

 さて今回は、一般相対性理論をさらに展開するために必要なテンソル密度(tensor density)という概念について考えてみます。

 ディラック博士(Paul Adrien Maurice Dirac,1902〜1984)は、その著『GENERAL THEORY OF RILATIVITY』のなかで、ブラック・ホールの項の次に、テンソル密度(tensor density)の項を設けて解説しています。

 座標を変換すると、4次元の体積要素は以下のように表されます。

 

 

 と定義されます。
 
 (28.1)を簡略にして、下記のように表します。

 

 

 と表されますが、右辺は三つの行列の積とみることが出来ます。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 21:59Comments(0)数学セミナー

2011年11月23日

数学セミナー(27)ーシュヴァルツシルト解(3)

 

 Artist impression of a binary system with an accretion disk around a black hole being fed by material from the companion star by Wikipedia.

 (旧暦10月28日)

 一葉忌 
 薄幸の女流小説家樋口一葉の明治29年(1896)の忌日。
 一葉樋口夏子(戸籍名奈津)は、14歳で中島歌子(1844〜1903)の歌塾「萩の舎」に入門し、和歌のほか千蔭流の書や源氏物語などの王朝文学を学びましたが、父の事業の失敗と死去により生活は困窮。その後、小説家として生計を立てるために東京朝日新聞小説記者の半井桃水に師事して、図書館に通い詰めながら処女小説「闇桜」を桃水主宰の雑誌「武蔵野」の創刊号に発表しています。

 生活苦の中、「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」といった秀作を発表し、森鴎外や幸田露伴から高い評価を受けましたが、わずか24歳6ヶ月で肺結核により死去しました。

 なお、一葉が師事した中島歌子は、15歳で水戸藩士林忠左衛門に嫁し、水戸天狗党の乱に連座して捕らえられるも出獄後、幕末・明治初期の国学者・歌人であった加藤千浪(1810〜1877)に師事して和歌を学び、明治10年(1877)ごろから東京小石川の安藤坂に歌塾「萩の舎」を開いて貴顕夫人、令嬢に和歌などを教えています。
また、宮内省の御歌所に出仕し、日本女子大学校国学教授も務めています。


 数学セミナー(26)ー相対性理論(12)ーシュヴァルツシルト解(2)のつづき。

 高校時代の同期生との情報共有のためにFacebookなるものをはじめてみましたが、あれはあれで写真も掲載でき、また短い文章でも発信できるので、なかなか便利なものじゃごわさんか。
 さて世の中、どこもかしこもスマホブームで、特にApple社のiPhon4sがauから発売されてからは大ブレイク。我が家の兄ちゃん達も早速iPhon4sに乗り換えましたで。

 ちゅうことで準備もでけましたけん、そろそろシュヴァルツシルト解を導きだしましょう。

 

 これが「アインシュタインの重力の法則」と呼ばれているものです。
 ここで「空っぽ」というのは、物質は存在せず、重力場の他にはどんな物理的な場も存在しないと云うことを意味しています。
 これは、太陽系の惑星間空間にはよい近似であてはまり、そこでは上記の式が使用可能となります。

 従って、前回求めた式から、

 

 (3.2)式を(3.1)式に代入すると、

 

 従って、

 

 ここで、極座標の動径r→∞で空間は近似的に平坦になると仮定すると、λおよびνはr のみの関数であることから、未定の計量テンソルは、

 

 従って、
 
 

 上記から、

 

 前回求めた式から、

 

 (3.3)を(3.4)に代入すると、

 

 すなはち、

   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 22:20Comments(0)数学セミナー

2011年06月05日

数学セミナー(26)ーシュヴァルツシルト解(2)

 
 
 Paul Adrien Maurice Dirac, OM(Order of Merit), FRS(Fellow of the Royal Society) ( 1902 – 1984) was an English theoretical physicist who made fundamental contributions to the early development of both quantum mechanics and quantum electrodynamics. He held the Lucasian Chair of Mathematics at the University of Cambridge and spent the last fourteen years of his life at Florida State University.
 Among other discoveries, he formulated the Dirac equation, which describes the behaviour of fermions, and predicted the existence of antimatter.
 Dirac shared the Nobel Prize in physics for 1933 with Erwin Schrödinger, "for the discovery of new productive forms of atomic theory.

 (旧暦5月4日)

 数学セミナー(25)ー相対性理論(11)ーシュヴァルツシルト解(1)のつづき。
 
 今年は、5月に梅雨入りするなど、大地震といい大津波といい、「まったく世の中、どないなってんねん」と嘆いております。

 しか〜し、おいどん「嘉穂のフーケモン」は、天変地異などには負けもさん! 「がんばっど、東北(とんぺい)!」

 といふ訳で、「おたく」の世界に戻ります。

 

 

 

 以前求めたクリストッフェルの3指標記号を用いると

 

 

 (2.1)と(2.2)を(2.3)に代入すると、計量テンソルのみたす方程式は下記(2.4)に得られます。

 

 

 

 

 

 ちょっとここらで一休み。目がチカチカしますな!


 

 

 

 

 はい、とりあえずこれでおしまい。他の式はすべて0となります。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 14:34Comments(0)数学セミナー

2011年05月14日

数学セミナー(25)ーシュヴァルツシルト解(1)

 

 Simulated view of a black hole in front of the Large Magellanic Cloud. The ratio between the black hole Schwarzschild radius and the observer distance to it is 1:9. Of note is the gravitational lensing effect known as an Einstein ring, which produces a set of two fairly bright and large but highly distorted images of the Cloud as compared to its actual angular size.
 
 (旧暦4月12日)

 天体物理学の世界で話題になっているブラックホール (black hole) とは、きわめて強い重力のために物質だけでなく光さえも脱出できない天体として20世紀前半の一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)の確立により理論的に予言され、20世紀後半のX線天文学の台頭により宇宙におけるその存在が確かめられました。

 現在では、「ブラックホールとは、多量のガスやエネルギーを放出する天体」として認識されていますが、「光さえも脱出できない天体から何で多量のガスやエネルギーを放出できるんかいな?」という素朴な疑問がつきまとい、夜も眠れなくなってしまいます。

 1916年、アインシュタインは「一般相対性原理」と「等価原理」の二つの原理のもとに、リーマン幾何学(Riemannsche Geometrie)を用いて一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)を構築しました。

 そしてその重力方程式を下記の様に導きました。
 
 

  face01一般相対性原理(Relativitätstheorie)
   物理法則は、すべての可能な座標系に対して同一の形式で成立する。
   Die Gesetze der Physik müssen so beschaffen sein, daß sie in bezug auf beliebig bewegte Bezugssysteme gelten.
 
  face02等価原理(Äquivalenzprinzip)
   すべての自然法則は、あらゆる座標系に対して成り立つような等式によって表現されるべきである。すなわち、任意の座標変換に対して共変(一般共変)な等式によって書き表されるべきである。
   Die allgemeinen Naturgesetze sind durch Gleichungen auszudrücken, die für alle Koordinatensysteme gelten, d.h. die beliebigen Substitutionen gegenüber kavariant (allgemein kovariant) sind.

 1916年、ドイツの物理学者、天体物理学者のカール・シュヴァルツシルト(Karl Schwarzschild、 1873~1916)は、球対称で自転せずかつ真空な時空を仮定してアインシュタインの重力方程式の厳密解を求めることに成功しました。
 40歳を超えていながら、第一次世界大戦でドイツ軍の砲兵技術将校として東部戦線に従軍中にアインシュタインの一般相対性理論を知り、戦地でその計算に取り組んでこの特殊解を導き出したと云われています。シュヴァルツシルトはその研究結果をアインシュタインに送りましたが、その半年後には天疱瘡(てんぽうそう、Pemphigus)という難治性の水疱性皮膚疾患で戦病死しています。

 彼が導き出した特殊解(シュヴァルツシルト解、Schwarzschild solution)は、重力が強く、光さえも抜け出せない時空の領域であるブラックホール(Schwarzes Loch )の存在を示唆していました。シュヴァルツシルト解には、その原点r=0に特異性があり、それがブラックホールであると認識されるようになったのは1960年代のことでした。

  ブラックホールという言葉を最初に用いたのは、プリンストン大学教授のジョン・A・ホイーラー(John Archibald Wheeler、1911〜2008)でした。
 彼は、1967年の秋にニューヨークで開かれたパルサー(パルス状の可視光線、電波、X線を発生する天体の総称)に関する会議で初めてその言葉を用い、同年12月のアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science)で行った講演の中で再び用いています。

 The term "black hole" was coined by John Wheeler , being first used in his public lecture "Our Universe: the Known and Unknown" on 29 December, 1967.

 一方、真空中を定常的に回転する軸対称な時空を仮定したアインシュタインの重力方程式の厳密解は、1963年にニュージーランドの数学者ロイ・カー(Roy Patrick kerr、1934〜 )によって発見されました。

 そこで、回転していないブラックホールを「シュヴァルツシルト-ブラックホール」と呼び、回転しているブラックホールには「カー-ブラックホール」という名前がつけられています。
 この2種類のブラックホールが天体物理学の現場に登場するブラックホールで、現実に存在しうるブラックホールの解は、他にはないことが証明されているそうです。
   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 22:22Comments(0)数学セミナー

2010年05月21日

数学セミナー(24)ー相対性理論(10)ー重力方程式(6)

 
 
 Johannes Kepler (1571〜1630)

 (旧暦  4月 8日)

 いや〜、お暑うございますなあ!
 上方に出張に行っておりましたが、どこも暑いでんな。なんか、涼しい話題でもと思いましたが、暑さついでに、頭の方も熱くしてみまひょ。

 サー・アイザック・ニュートン(Sir Isaac Newton、1643〜1727)が万有引力の法則を思いついたのは、太陽系の惑星の運行を司るケプラーの法則とリンゴの木からリンゴが落ちるという現象とが同じ力に由来する事を発見したからだそうでんな。

 一方アインシュタインはんは、時空に質量やエネルギー、運動量が存在すると時空がゆがみ、その時空のゆがみが重力場であると考えよったそうです。ま〜、なんと賢いお人でっしゃろか。

 ニュートン力学では、重力ポテンシャル(万有引力) はポアッソン(Poisson)方程式の解から導かれ、

 

 ここで、Gは万有引力定数であり、ρは重力をつくり出す物体の質量密度を表します。

 さらには前回、やっと導くことができたアインシュタインの重力方程式は、下記のよう表されました。
 
 

 

 

 さて、(6.2)式は、次のように変形できます。

 

 

 そこで(6.2)式の左辺の第2項を右辺に移項すると、

 

   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 19:18Comments(0)数学セミナー

2009年11月23日

数学セミナー(23)-一般相対性理論(9)-重力方程式(5)

 

 Karl Schwarzschild (1873~1916)

 (旧暦 10月 7日)

 一葉忌 歌人中島歌子(1841~1903)の歌塾「萩の谷」で歌道、古典を学び、その後小説家半井桃水(1861~ 1926)に師事して小説を学んでわずか1年半の間に「たけくらべ」、「十三夜」、「にごりえ」といった秀作を発表して、25歳で肺結核により死去した小説家樋口一葉の明治29年(1896)の忌日。


 数学セミナー(22)-一般相対性理論(8)-重力方程式(4)のつづき


 そろそろ準備もでけましたけん、いよいよアインシュタインの重力方程式ば導いてみまっしょ。
 ここで、「何で今さらアインシュタインの重力方程式やねん?」との疑問もおありでしょう。

 1916年、球対称で自転せず且つ真空な時空を仮定してアインシュタインの重力方程式を初めて解いたのが、ドイツの物理学者、天体物理学者のカール・シュヴァルツシルト(Karl Schwarzschild、 1873~1916)でした。

 彼が導き出した特殊解(シュヴァルツシルト解、Schwarzschild metric)は、重力が強く、光さえも抜け出せない時空の領域であるブラックホール(Schwarzes Loch )の存在を示唆していました。
 シュヴァルツシルト解には、その原点r=0に特異性があり、それがブラックホールであると認識されるようになったのは1960年代のことであるとされています。

 つまり、私「嘉穂のフーケモン」は、大それたことに、このブラックホールを示唆するシュヴァルツシルト解を導くために、アインシュタインの重力方程式ば導きよるのですたい。

 ほんでは、行きまっしょ!

 

 これを、リッチ・テンソル(Ricci tensor)と云います。また、リッチ・テンソル(Ricci tensor)は、対称となります。

 

 ここで、縮約(summation)とは、下付き添字のひとつを上付き添字のどれかと同じ字に直すと、この添字については和をとることになります。これにより、ほんものの添字がもとのテンソルより二つ少ないテンソルができたことになります。

 ビアンキの恒等式は5個の添字を含むので、縮約を2度行ってダミーでない添字をひとつにします。

 

 

 

 ところが、

 

 また、

 

 したがって、

   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 11:39Comments(0)数学セミナー

2009年07月08日

数学セミナー(22)-一般相対性理論(8)-重力方程式(4)

 

 Tullio Levi-Civita (1873~ 1941) was an Italian mathematician, most famous for his work on absolute differential calculus (tensor calculus) and its applications to the theory of relativity .

 (旧暦 閏5月 16日)

 数学セミナー(21)-一般相対性理論(7)-重力方程式(3)のつづき


 

 この場合、2度の共変微分を行うと

 

 ρとσを入れ替えると、

 

 (1)式-(2)式より、

 

 

 (3)式は、(4)式と(5)式から、

 

 

 

   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 12:53Comments(0)数学セミナー

2009年07月04日

数学セミナー(21)-一般相対性理論(7)-重力方程式(3)

 

 Elwin Bruno Christoffel (1829~1900)

 (旧暦 閏5月 12日)

 数学セミナー(20)-一般相対性理論(6)-重力方程式(2)のつづき

 微分幾何学の数学的な領域においてリーマン多様体の曲率(Curvature:曲面の曲がり具合を表す量)を表す最も標準的なものに、リーマン・クリストッフェルテンソル(the Riemann Riemann–Christoffel tensor)があります。

 このリーマン-クリストッフェルテンソル(Riemann-Christoffel tensor) あるいはリーマン曲率テンソル(Riemann curvature tensor)は、アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein、1879~1955)が1916年に発表した『一般相対性理論の基礎』 という論文における「重力場の方程式の一般形式」の重要な構成要素になっています。
 Die Grundlage der allgemeinen Relativitätstheorie. In: Annalen der Physik. 49, 1916, Seite . 769–822

 

 

 ただし、

 

 ここで多様体(manifold)とは、局所的にユークリッド空間とみなせるような図形のことで、局所的に座標を描き込むことができます。この図形の任意の各点で、接ベクトル(tangent vector)の間に内積(inner product)が定まっている多様体をリーマン多様体といいます。

 

 

 したがって、

 

 座標変換を施しても形式が変化したりはしない性質を「共変形式」と云いますが、「共変微分」とは共変形式を作る微分ということになります。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 12:54Comments(0)数学セミナー

2008年12月27日

数学セミナー(20)-一般相対性理論(6)-重力方程式(2)

 
 
 Bernhard Riemann (1826~1866) , 1863. 
 Georg Friedrich Bernhard Riemann (1826~1866) was a German mathematician who made important contributions to analysis and differential geometry, some of them paving the way for the later development of general relativity.

 (旧暦 12月 1日)

 数学セミナー(19)-一般相対性理論(5)-重力方程式(1)のつづき

 

 

 

 計量テンソルは、リーマン計量(Riemannian metric)と呼ばれることもあります。

 a から b までの曲線の長さLは、t をパラメータとして、

 

 で与えられます。

 ちなみに、2次元のユークリッド計量(Euclidean metric)では平らな空間となり、

 

 で与えられ、曲線の長さLは、

 

 で与えられます。

 また、平らな ミンコフスキー空間(flat Minkowski space)では、

 

 となります。

 
 
 それにはまず、次のような条件を設定して考えてみます。

 i.  重力場はあまり強くない。
 ii.  重力場は時間的に不変である。
 iii. 質点の速度は、光速に対して十分におそい。
  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 19:27Comments(0)数学セミナー

2008年12月20日

数学セミナー(19)-一般相対性理論(5)-重力方程式(1)

 

 Godfrey Kneller's 1689 portrait of Isaac Newton (aged 46).
 
 (旧暦 11月23日)

 劉生忌 娘である麗子(大正3年生)の肖像画や「道路と土手と塀(切通之写生)」(1915年、東京国立近代美術館、重要文化財)などの洋画で有名な大正、昭和初期の洋画家岸田劉生の昭和4年(1929)の忌日。

 石鼎忌  俳人原石鼎(鼎)の昭和26年(1951)の忌日。島根県出雲市に生まれ、文学との葛藤に悩んで旧京都府立医学専門学校(京都府立医科大学)を中退。大正4年(1915)に「ホトトギス」社に入り作句に専念、大正俳壇の雄として村上鬼城(1865~1938)、渡邊水巴(1882~1946)、前田普羅(1884~1954)、飯田蛇笏(1885~1962)らとともに「大正ホトトギス作家」と総称された。
医専中退後、深吉野の診療所を預かり、厳しい自然を俳句で描写しつつその中に研ぎ澄まされた美を表現してみせ、俳壇に衝撃を与えたと評価されている。

  頂上や殊に野菊の吹かれ居り
  とんぼうの薄羽ならしし虚空かな


 ニュートン力学では、重力ポテンシャル(万有引力)φはポアッソン(Poisson)の方程式

 

 の解から導かれました。ここで、記号Δはラプラス演算子(ラプラシアン)と呼ばれ、2 階線型の偏微分方程式であるラプラス方程式を表します。

 

 Gは万有引力定数であり、ρは重力をつくり出す物体の質量密度を表します。

 

 この方程式は時間を含まない静的な方程式であり、相対論的には不変ではありません。
 つまり、一般相対性原理(Relativitätstheorie)の成り立つ条件、

 「物理法則は、すべての可能な座標系に対して同一の形式で成立する。」
 Die Gesetze der Physik müssen so beschaffen sein, daß sie in bezug auf beliebig bewegte Bezugssysteme gelten.

 を満足していないのです。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 12:37Comments(0)数学セミナー

2008年10月08日

数学セミナー(18)-一般相対性理論(4)-測地線(2)

 

 Artist's impression of a binary system consisting of a black hole and a main sequence star. The black hole is drawing matter from the main sequence star via an accretion disk around it, and some of this matter forms a gas jet by Wikipedia.
 
 ブラックホールとその伴星GRO J1655-40についてのアーチストによる想像図。伴星 GRO J1655-40は我々の銀河に存在するマイクロクエーサーで、ブラックホールがそれからガスを吸いとっている。青色のトーチのように描かれているのはブラックホールから光の90%のスピードで出ているジェットである。

 (旧暦  9月10日)


 数学セミナー(17)-一般相対性理論(3)-測地線(1)のつづき


 いま、経路の変化については事象AとBを動かさないとしているので

 

 この経路の変化で、

 

 となる条件は、次式であらわされます。

 

 この条件が成り立つためには、[ 被積分項 ] が0になることが必要です。

 

 この形の方程式は、オイラー・ラグランジュ方程式(Lagrange's equations)と呼ばれます。

 

 だから

 

 したがって

 

 (17)、(18)、(19)式を(15)式に代入すると、

 

 また、

 
   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 21:46Comments(0)数学セミナー

2008年05月29日

数学セミナー(17)-一般相対性理論(3)-測地線(1)

 

 Gravitational lens.
 Bending light around a massive object from a distant source. The orange arrows show the apparent position of the background source. The white arrows show the path of the light from the true position of the source. 

 (旧暦 4月25日)

 多佳子忌 俳人橋本多佳子の昭和38年(1963)の忌日。結婚後、杉田久女の指導を受けて句作に入り、後に山口誓子に師事して「馬酔木」の同人となるも、38歳で理解ある最愛の夫に先立たれ、句作に情熱を傾けました。女性の哀しみ、不安、自我などを女性特有の微妙な心理によって表現したと評されています。

  月光に いのち死にゆくひとと寝る
  泣きしあと わが白息の豊かなる
  月一輪 凍湖一輪光あふ



 白櫻忌 歌人與謝野晶子の昭和17年(1942)の忌日。歿後に出版された歌集『白櫻集』に因む。


 測地線(geodesics)とは、直線の概念を曲がった空間に一般化したもので、計量(集合の二点間の距離を定義する函数)が定義される空間においては、測地線は、2つの離れた点を結ぶ局所的に最短な線として定義されます。

 さて、この曲がった空間はリーマン空間(Riemannian manifold)と呼ばれますが、その空間も小さな一部分だけ見れば近似的に平らになっています。

 いま、一般の座標系で近傍の2事象間の不変距離dsは、次式で与えられます。

 

 dsは、時間的な隔たりに対しては実数、空間的な隔たりに対しては虚数になります。
 4次元的な曲線のうち、粒子の軌跡になっているような線で定義される世界線(接線ベクトル)に沿ったパラメータ λを用いると、

 

 従って、事象A,B間の4次元距離は、パラメータλに関する積分として次式であらわされます。

 

 ただし、

   続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 19:58Comments(0)数学セミナー

2008年02月08日

数学セミナー(16)-一般相対性理論(2)-ほてからに・・・

 

 Two-dimensional analogy of space-time distortion. The presence of matter changes the geometry of spacetime, this (curved) geometry being interpreted as gravity. Note that the white lines do not represent the curvature of space, but instead represent the coordinate system imposed on the curved spacetime which would be rectilinear in a flat spacetime. 

 時空のゆがみを2次元に表現した図。物質の存在は時空の幾何学を変化させるが、この湾曲した幾何学は重力として説明されている。
 白い線は空間の湾曲を表したものではなく、代わりに平坦な時空においては直線となるであろう湾曲した時空に課せられた同等の系を表したものであることに注意すること。(???・・・・・)

 注)時空:時間と空間を同列に扱う物理用語で、一般相対性理論によって、時空は物質の存在によって歪み、この歪みこそが重力の正体であることが説明された。


 節忌  正岡子規の正当な後継者であると言われ、万葉の短歌の研究と作歌にはげんだ明治後期の歌人、小説家長塚節の大正4年(1915)年の忌日
      惜しまるる 花のこずえもこの雨の 晴れてののちや若葉なるらむ  

 (旧暦 1月2日)

 数学セミナー(15)-一般相対性理論(1)-そもそもは・・・のつづき


 アインシュタインは、慣性系(慣性の法則が成立する座標系で、その系で運動する物体は、外力を受けない限り運動状態を変えない)が必ずしも等速並進運動ではない運動をすれば、そこに見掛けの力の場、いわゆる慣性力が生まれるが、これは重力場と同等なものであると考えました。

 なぜならば、非常にせまい範囲に限っていえば、この慣性系自身の運動によってこの重力場を消し去ってしまうことができるからです。たとえば、急降下(加速度運動)する飛行機の中で、無重力状態を作り出すことができるようなものです。

 そこで、アインシュタインは、以下の二つの原理のもとに、リーマン幾何学(Riemannsche Geometrie)を用いて、1916年に一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)を構築しました。

 一般相対性原理(Relativitätstheorie)

 face01 物理法則は、すべての可能な座標系に対して同一の形式で成立する。

 face02 Die Gesetze der Physik müssen so beschaffen sein, daß sie in bezug auf beliebig bewegte Bezugssysteme gelten.
 

 等価原理(Äquivalenzprinzip)

 face04 すべての自然法則は、あらゆる座標系に対して成り立つような等式によって表現されるべきである。すなわち、任意の座標変換に対して共変(一般共変)な等式によって書き表されるべきである。

 face02 Die allgemeinen Naturgesetze sind durch Gleichungen auszudrücken, die für alle Koordinatensysteme gelten, d.h. die beliebigen Substitutionen gegenüber kavariant (allgemein kovariant) sind.

 特殊相対性理論(Spezielle Relativitätstheorie)において物理法則が基準系の選び方によらないことは、

 

を不変に保つ不変量が存在することを示し、それは次式で表されます。

 

 さて、一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)で基礎となる不変量は、次式で表されます。

  
 
 そして、上記4次元リーマン空間の基本形式の係数である重力ポテンシャルは、スカラーポテンシャルの代わりに、10個のテンソル

 

で特徴付けられます。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 23:15Comments(0)数学セミナー

2008年01月18日

数学セミナー(15)-一般相対性理論(1)-そもそもは・・・

 

 Hermann Minkowski (1864~1909) was a German mathematician of Jewish and Polish descent, who created and developed the geometry of numbers and who used geometrical methods to solve difficult problems in number theory, mathematical physics, and the theory of relativity. 

 (旧暦 12月11日)

 南ドイツ・ウルム出身のアルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein、1879~1955)は、1911年から1916年にかけて発表した以下の5つの論文により、一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)を確立しました。

 1. Über den Einfluß der Schwerkraft auf die Ausbreitung des Lichtes. In: Annalen der Physik. 35, 1911, Seite . 898–908
 1911年 『光の伝播に対する重力の影響』

 2. Entwurf einer verallgemeinerten Relativitätstheorie und einer Theorie der Gravitation. In: Zeitschrift für Mathematik und Physik. 62, 1913, Seite . 225–261.
 1913年 『一般相対性理論および重力論の草案』

 3. Erklärung der Perihelbewegung des Merkur aus der allgemeinen Relativitätstheorie. In: Sitzungsberichte der Preußischen Akademie der Wissenschaften. 1915, Seite . 831–839.
 1915年 『水星の近日点の移動に対する一般相対性理論による説明』

 4. Die Grundlage der allgemeinen Relativitätstheorie. In: Annalen der Physik. 49, 1916, Seite . 769–822
 1916年 『一般相対性理論の基礎』

 5. Hamiltonsches Prinzip und allgemeine Relativitätstheorie. In: Sitzungsberichte der Königlich Preußischen Akademie der Wissenschaften (Berlin), 1916, Seite .1111–1116
 1916年  『Hamiltonの原理と一般相対性理論』

 「アインシュタインの一般相対性理論を理解するには、テンソル解析学リーマン幾何学を理解しないとだめだ」とはよく聞く言葉ですが、これがまた複雑でめんどくさい。

 1905年、ドイツの学術誌『Annalen der Physik 』第17巻 p.891~921 に掲載された「Zur Elektrodynamik bewegter Körper」(動いている物体の電気力学)ほか数編の論文から成る特殊相対性理論は、互いに等速並進運動をしている「慣性系」に対して成り立つ理論でした。

 ここで「慣性系」とは、「慣性の法則」が成り立つ座標系であり、「慣性の法則」とは、「静止している質点は、力を加えられない限り静止を続け、運動している質点は、力を加えられない限り等速直線運動を続ける」というものです。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 21:57Comments(0)数学セミナー

2007年07月29日

数学セミナー(14)-相対性理論(5)-特殊相対性理論(5)

 
 
 
 Lorentz und Einstein photographiert
 von Ehrenfest vor seinem Haus in Leiden. 

 (旧暦  6月 16日)

 数学セミナー(13)-相対性理論(4)-特殊相対性理論(4)のつづき

 互いに一定の早さvで相対運動している2つの慣性系 K ( x, y, z, t ) とK' ( x', y', z', t' )において、慣性系 KとK'の空間座標の原点が一致した瞬間を原点、t = t' = 0として、このときに原点から放射された光が真空中を伝わる速さはどの系においても同じだから、K ( x, y, z, t )系 とK' ( x', y', z', t' )系の t および t' 秒後の光の分布は、それぞれ球面方程式より、下記のように表現されます。

  

 ローレンツ変換とは、互いに一定の早さvで相対運動している2つの慣性系 K ( x, y, z, t ) とK' ( x', y', z', t' ) の関係式を求めること、つまり、K 系からK' 系への変換を求めることになりますが、これは数学的には、次式の各係数a~qを求める作業となります。

  

  ここで、K' 系のx' 軸がK 系のx 軸の正の方向に速さv で運動しているとすると、t 秒後のK' 系の原点 x'=0の地点は、K 系では x=vt となるから、x' は次式で表されます。

  

 また、K' 系はx 軸方向にだけ運動していることから y' 式と z' 式の t の係数は0 となる必要があり、y' 式と z' 式および t' 式は次式のように省略できます。

    続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 11:48Comments(0)数学セミナー

2007年07月16日

数学セミナー(13)-相対性理論(4)-特殊相対性理論(4)

  

 Albert Einstein in 1904.

 (旧暦  6月 3日)

 数学セミナー(12)-相対性理論(3)-特殊相対性理論(3)のつづき


 ローレンツ変換は、アインシュタインが考えた「光速度が慣性系によらず一定」であることから導く簡単な方法があります。

 ここで慣性系(かんせいけい)とは、『慣性の法則』が成立する座標系であり、『慣性の法則』とは

 『静止している質点は、力を加えられない限り、静止を続ける。運動している質点は、力を加えられない限り、等速直線運動を続ける。』 

というものです。

 1900年に卒業したスイスのチューリッヒ連邦工科大学(Eidgenössische Technische Hochschule, ETH)に助手として残ることもできず、かといって博士号も持たず、臨時の代理教員や家庭教師のアルバイトで収入を得ていた無名の青年は、1902年、友人の父親の口利きでベルンのスイス特許庁に3級技術専門職(審査官)として就職することができました。

 1905年、彼は博士号を取得するために、“Zur Elektrodynamik bewegter Körper” (運動している物体の電気力学)という論文を母校のチューリッヒ連邦工科大学に提出しますが、受け入れられませんでした。しかし、この「特殊相対性理論」に関連する最初の論文は、ドイツの学術誌『Annalen der Physik』 第17巻 pp.891~921 に掲載されました。

 §2. Über die Relativität von Längen und Zeiten.
 Die folgenden Überlegungen stützen sich auf das Relativitätsprinzip und auf das Printzip der Konstanz der Lichtgeschwindigkeit, welche beiden Prinzipien wir folgendermaßen definieren.
 
 1. Die Gesetze, nach denen sich die Zustände der physikalischen Systeme ändern, sind unabhängig davon, auf welches von zwei relativ zueinander in gleichförmiger Translationsbewegung befindlichen Koordinatensystemen diese Zustandsänderungen bezogen warden.

 2. Jeder Lichtstrahl bewegt sich im „ruhenden“ Koordinatensysytem mit der bestimmten Geschwindigkeit V, unabhängig davon, ob dieser Lichtstrahl von einem ruhenden oder bewegten Körper emittiert ist. Hierbei ist
                           
        Geschwindigkeit = Lichtweg/Zeitdauer ,

wobei „Zeitdauer“ im Sinne der Definition des §1 aufzufassen ist.
  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 22:30Comments(0)数学セミナー

2007年01月23日

数学セミナー(12)-相対性理論(3)-特殊相対性理論(3)

  
 
 Albert Abraham Michelson(1852~1931)
 
 旧暦 12月 5日

 羅山忌 江戸時代初期の儒学者で、徳川家康の側近として活躍した林羅山の明暦3年(1657)の忌日。

 数学セミナー(9)-相対性理論(2)-特殊相対性理論(2)のつづき

 いや~、しばらく冬眠しとったもんで・・・。えっ! もう春ですかいの?
 なに~、エルニーニョ現象と地球温暖化による暖冬じゃと??

 地球温暖化の影響は深刻で、ある試算によれば、2050年頃には北極の氷が溶けて、海水面が約6m近くも上昇するんだとか。

 シカゴ大学古生物学教授デヴィド・ラウプ博士らが「大量絶滅(mass extinction)」と名付けた、約2億5000万年前の古生代ペルム紀末におきた種の絶滅96%もの大規模な生物の絶滅事件も、ロシアの中央シベリア高原に痕跡が残されている巨大噴火が引き起こした地球温暖化によるものだとか。

 こりゃ~、真剣に対策ば立てんと、えらいことになりまっせ~!

 さて、アメリカの物理学者アルバート・エイブラハム・マイケルソン(Albert Abraham Michelson, 1852~1931)とエドワード・ウィリアムズ・モーリー(Edward Williams Morley、1838~1923)が1881年に行った有名なマイケルソン・モーリーの実験(Michelson-Morley experiment)は、当時、宇宙に充満していると考えられていたエーテルの存在を確かめるために行われました。

 

 波は水を媒質として揺れてエネルギーが伝わり、音波は空気を媒質として揺れてエネルギーが伝わっています。
 17世紀以降、力(万有引力)や光が空間を伝わるのはエーテルを媒体としているとの仮説が立てられました。そして19世紀にドイツの物理学者ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ(Heinrich Rudolf Hertz, 1857~1894)によって電磁波の存在が確認されると、電磁波の媒質であるエーテルの存在も否定しがたいものと思われるようになりました。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 22:21Comments(0)数学セミナー