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2019年07月04日

國立故宮博物院(10)-江行初雪圖


    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

        Originally entitled Yankee Doodle, this is one of several versions of a scene painted by A. M. Willard that came to be known as The Spirit of '76. Often imitated or parodied, it is a familiar symbol of American patriotism        

    Independence Day
    Independence Day is a federal holiday in the United States commemorating the Declaration of Independence of the United States on July 4, 1776. The Continental Congress declared that the thirteen American colonies were no longer subject (and subordinate) to the monarch of Britain and were now united, free, and independent states. The Congress had voted to declare independence two days earlier, on July 2, but it was not declared until July 4.

      (旧暦6月2日)

    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

    『江行初雪圖』


    絹本、縱:25.9公分、橫:376.5公分。是五代南唐畫家趙幹唯一傳世的作品、卷首有南唐李後主以金錯刀 書:「江行初雪畫院學生趙幹狀」、本幅描繪 
    初冬江南水景、旅人策蹇、漁夫打漁謀生的生活細節、具有鮮明的江南區域畫風、在性質上則屬於風俗畫。這一件重要的南唐遺珍、在北宋初屬私人收 
    藏、後入內府、為『宣和畫譜』著錄。後收入元朝內府及清朝內府、是件流傳有緒的精品、目前收藏於國立故宮博物院。
    《維基百科》


    絹本、縱:25.9cm、橫:376.5cm。五代南唐(937〜975)の画家、趙幹(生卒年不詳)の唯一伝わる作品。卷首には、南唐の後主(最後の皇
    帝)李煜(LǐYù : 937〜978)が金錯刀の書法をもって書いた「江行初雪畫院學生趙幹狀」の書き込みがある。

    本幅は初冬の江南の水辺の風景、旅人の策蹇(驢馬を急がせる様子)、漁夫の網を打ち生計を営む生活の様子が描かれ、鮮明な江南地方の画風を備え
    て、性質上風俗画に属している。

    この一幅は重要な南唐の遺宝で、北宋(960〜1127)の初め、私人の收蔵に属し、後に内府(朝廷)に入り、為に『宣和畫譜』(北宋第八代皇帝徽宗の
    宣和内府の収蔵絵画の著録)に記録されている。


    後に元朝の内府(朝廷)に収められ、清朝の内府(朝廷)に及んでいる。この画は、長く伝わったえり抜きの作品で、現在、國立故宮博物院に収蔵され
    ている。
        『嘉穂のフーケモン拙訳』



    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

        『江行初雪圖』巻首

    中国五代南唐(937〜975)の画家趙幹(生没年不詳)は、江寧(今の南京)の人で、南唐の後主(最後の皇帝)李煜(LǐYù : 在位961〜975)の時代、画院の学生であり、山水、林木、人物を描くのを得意としていました。

    描くのは全て江南の風景で、塔楼、舟楫(しゅうしゅう:舟と楫)、水村、漁市、花や竹を散りばめて、「煙波浩渺、風光明媚(もやの立ちこめた水面が広々と遙かなさまで、自然の眺めが清らかで美しい)」な山水の美しい眺めを表現して最も独創的と評価されています。

    『江行初雪圖』の長さ3m57.5㎝の長巻に描かれたのは、江南の冬景色の中、驢馬に跨がり風に吹き飛ばされまいと笠に手をやる旅人、寒さに背を屈めて荷物を運ぶ供の人、岸辺では四つ手網で漁に励む漁師達。描かれた人物達の寒そうな姿は、本格的な冬の到来を予見させます。

    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

        『江行初雪圖』

    雪に舞う淡い初雪を描くのに、趙幹は弾粉という技法を使ったと解説されています。筆に白い絵の具を含ませて、弓の弦ではじいて粉雪を散らしました。しかし、あまりにも淡すぎて、画像ではよく見ることができないようです。

    『江行初雪』は川辺で厳しい寒さに耐えながら漁をする漁師の姿を描いている。淡墨で絹地を染め、そこに白粉の雪が散らしてある。寒林枯木はいずれ
    も中鋒円筆、屈鉄盤糸(はっきりと輪郭線を描いてから色を塗る画法)の如く力強い。木の幹は乾筆皴染(筆を磨りつけ掠れた筆遣い)により描かれ、
    後人の皴山に似て自然と陰陽向背(遠近感)が表現されている。蘆の穂は赭墨を用いて一筆で描かれ、実に創意に富んでいる。低く盛り上がった中州と
    斜面の裾は淡墨で塗りつぶされ皴紋はなく、いずれも後人の画法と異なる趣がある。押された印章を見ると、宋、元、明、清各朝内府と個人が収蔵した
    ことがわかり、流伝の歴史を有する名品である。
        (文・胡賽蘭)


    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

    『宣和畫譜    巻十一』    

    趙幹、江南人。善畫山林泉石、亊僞主李煜爲畫院學生、故所畫皆江南風景、多作樓觀、舟船、水村、漁市、花竹、散爲景趣、雖在朝市風埃間、一見便如
    江上、令人褰裳欲涉而問舟浦漵間也。今御府所藏九
        春林歸牧圖一    夏山風雨圖四
        夏日玩泉圖一    煙靄秋涉圖一
        冬晴漁浦圖一    江行初雪圖一
        『宣和畫譜    巻十一』


    趙幹は江南の人なり。山林泉石の畫を善くし、僞主李煜に亊(つか)へ畫院學生の爲、故に畫く所は皆江南の風景なり。多く樓觀、舟船、水村、漁市、
    花竹を作す。景趣(けいしゅ:おもむき)の爲に散じ、朝市に在りと雖も風埃の間、一見便(すなは)ち江上の如く、人をして裳(しゃう:スカート)
    を褰(かかげ)て涉らんと欲せしめ、而して舟、浦漵(ほじょ:船溜まり)を問ふの間也。今、御府の所藏は九なり。
        春林歸牧圖一    夏山風雨圖四
        夏日玩泉圖一    煙靄秋涉圖一
        冬晴漁浦圖一    江行初雪圖一
        『嘉穂のフーケモン拙訳』


    『宣和畫譜』は、北宋末、徽宗皇帝(在位:1100〜1026)が在位していた頃の宮廷秘府に所蔵されていた作品、古今の画家二百三十人余を、道釋(道教と仏教)・人物・宮室・番族(民族)・龍魚・山水・畜獣・花鳥・墨竹・蔬菜の十のジャンルに分類し、その略歴とともに画業に関する評価を記し、のべ六千三百点余に及ぶ作品を登録した書です。
    『江行初雪圖』は、冒頭に南唐の後主(最後の皇帝)李煜(LǐYù : 937〜978)の筆で、「江行初雪畫院學生趙幹狀」との書き込みがあり、趙幹は朝廷直属の画家であることが分かります。南唐(首都は南京)は40年足らずしか続かなかった小国でしたが、唐文化を継承したという矜持があり、朝廷に画院を設けて芸術家の育成に力を入れた王朝でした。

    この李煜(LǐYù : 937〜978)の書き込みの筆にかぶるように、「明昌寳玩」の朱印が押されています。この印は、北宋を滅ぼした金の第六代皇帝章宗(在位:1189〜1208)のものとされています。

    さらに元の第八代皇帝文宗(トク・テルム:在位 1328〜1329,1329〜1332)の「天暦之寳」、元朝から明朝が所蔵品を接収したときの半印などがあり、南唐から北宋、金、元、明へと五代の朝廷に次々と継承されて行きました。

    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

        元朝第八代皇帝文宗(トク・テルム:在位 1328〜1332,1329〜1332)

    しかし、明代になると民間に流出し、江西分宜の出身で、弘治十八年(1505)の進士嚴嵩(1480〜1567)の所蔵印が押されています。

    嚴嵩(1480〜1567)は、明朝第十二代皇帝嘉靖帝(在位:1521〜1567)の信任を得て内閣大学士となり、嘉靖二十年(1541)、嘉靖帝が西苑の万壽宮に移って朝議を放棄したことに乗じて政治を専断し、賄賂政治を展開しました。

    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖
     
        内閣大学士    嚴嵩(1480〜1567)

    嘉靖二八年(1549)以降は内閣首輔とされて政治の全権を握り、子の厳世蕃とともに大丞相、小丞相と呼ばれるほどの権勢を誇りました。また、太子大師(皇太子の教育係)の要職にも就きましたが、内閣大学士徐階(1494〜1574)のたび重なる弾劾の結果、ついに失脚し家産を没収されています。

    その後、清の初期までは民間の所蔵家の間を転々とし、清朝第六代皇帝乾隆帝(在位:1735〜1796)の時代に、三度、清朝の内府(朝廷)に収められました。

    ところで、故宮博物院の書画には、やたらに印が押されているものを多く目にします。また、書や絵画の余白には、印とともに賛が書き込まれています。

    この習わしは、書画の才に優れ、北宋最高の芸術家の一人と言われる第八代皇帝徽宗(在位:1100〜1026)から始まったとされています。そして、特に清朝の第六代皇帝乾隆帝(在位:1735〜1796)は、印が好きで、お気に入りの書や絵画には三つも四つも押しています。しかし、この押印のおかげで、書画の伝世の経過が良く分かるという効果もあるようです。

    乾隆帝は中国の伝統的な文物をこよなく愛し、現在も故宮博物院に残る多くのコレクションを収集し、たびたび江南へ行幸しています。
    乾隆十六年(1751)、乾隆二十二年(1757)、乾隆二十七年(1762)、乾隆三十年(1765)、乾隆四十五年(1780)、乾隆四十九年(1784)の6回で、その都度、南京江寧府、蘇州府、杭州府、揚州府、浙江省海寧を訪れています。

    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖

        清朝第六代皇帝乾隆帝(在位:1735〜1796)

    この乾隆帝、清朝の内府に収められた『江行初雪圖』に押してあるかの嚴嵩(1480〜1567)の押印をみると非常に立腹し、穢らわしいとばかりに切り取って、新たに自らの鑑賞文を付け加えました。

    その際、北宋を滅ぼした金の第六代皇帝章宗(在位:1189〜1208)が押印した「明昌寳玩」の印の一部も損なわれ、朱筆で補ったと伝えられています。

    巻首の二つの大きな朱印、「五福五代堂古稀天子寳」と「八徴耄念之寳」は共に乾隆帝の印章で、「五福五代堂古稀天子之寳」印は帝の七十歳、「八徴耄念之寳」印は八十歳の誕生日に製作されています。

    國立故宮博物院(10)-江行初雪圖


    そして、次のような賛文を書き記しました。

    吳頭楚尾滄江清 元㝠試令飛初霙 驢背客寒風打笠 江心漁樂舟衝凌 蘆腰已折鬚添白 山頭乍失髻矗青 或見沙觜翁舉網 尚有船唇兒弄罾 
    夫豈皸瘃之不懼 衣食切已勞經營 冰魚凍蟹入盤活 誰家羊膏佐軟烹 造物不齊有如此 對之令人感慨増 瑶機錦綍識異物 傳來北宋騰清聲 
    奎章學士丹邱生 一時法眼精品評 燭照意移生栗烈 畫時不知呵凍 幾度方能成 乾隆御題


    吳頭楚尾(江西北部と安徽西南部)の滄江清く
    元(もと)㝠(くら)く 試みに初霙を飛ばしむる
    驢背の客 寒風笠を打ち
    江心(江の真ん中)の漁 舟の樂み 衝を凌(しの)ぐ 
    蘆の腰は已に折れて 鬚は白を添ひ 
    山頭は髻(たぶさ)を失い乍らも矗(なお)く青たり 
    或は見る 沙觜の翁の網を舉(あ)ぐるを 
    尚 船有り 唇兒 罾(あみ)を弄(いじ)る 
    夫れ豈 皸瘃(くんちよく:あかぎれ) 之を懼(おそ)れずや 
    衣食は已に切れて 經營に勞(つと)め 
    冰魚 凍りて 蟹(かい:かに) 活きて盤(はち)に入る 
    誰が家にか 羊膏 軟烹を佐(たす)けん
    造物は齊(ひとし)からず 此の如く有り 
    之に對し 人をして感慨を増さしむ 
    瑶(たま)の機(からくり) 錦の綍(引き綱) 異物を識(し)る
    傳來す 北宋 清聲 騰(あ)がり 
    奎章(けいしやう:文章)學士 丹邱に生まる 
    一時の法眼 品評を精(くわし)くし 
    燭(しよく)は照らす 意(おもひ)移り 栗(りつ:怖れ)を生じて烈(はげ)し 
    畫く時は呵凍(かとう:息を吹きかける)を知らず 
    幾度 方(方法) 能く成す 
    乾隆御題
       『嘉穂のフーケモン拙訳』


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Posted by 嘉穂のフーケモン at 20:52│Comments(0)国立故宮博物院
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