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2004年12月08日

日本(2)-帝国陸海軍は、・・・

 日本(2)-帝国陸海軍は、・・・

 大本営発表

 (旧暦10月27日)

 その日の朝、午前7時の時報が鳴ると、いきなり「しばらくお待ち下さい」とアナウンスされました。
「どうしたのか」といぶかる国民に、臨時ニュースのチャイムが鳴り響きました。

 「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部午前6時発表――帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」

 昭和16年(1941)12月8日午前7時、日本放送協会(NHK)のアナウンサー館野守男は開戦を知らせるニュースを二度繰り返して読みました。

 館野は、原稿にある「米英軍」を「アメリカ、イギリス軍」と読んだそうです。
 
 そして、「なお今後重大な放送があるかもしれませんから、聴取者の皆様にはどうかラジオのスイッチをお切りにならないようお願いします」と結びました。

 この日の営みを始めようとしていた国民は、衝撃をもってこの放送をきいたといいます。

 大本營海軍部發表(十二月八日午前十一時十分)  
  一、帝國海軍は本八日未明ハワイ方面の米國艦隊並に航空兵力に對し決死的大空襲を敢行せり
  二、帝國海軍は本八日未明上海においてイギリス砲艦「ぺトレル」を撃沈せり、アメリカ砲艦「ウエーク」は同時刻我に降伏せり
  三、帝國海軍は本八日未明シンガポールを爆撃して大なる戰果を収めたり
  四、帝國海軍は本八日早朝「ダヴァオ」「ウエーク」「グアム」の敵軍事施設を爆撃せり


 大本營陸軍部發表(十二月八日午前十一時四十分)    
 我が軍は本八日未明戰鬪状態に入るや機を失せず香港の攻撃を開始せり


 大本營陸海軍部發表(十二月八日午前十一時五十分)    
 我が軍は陸海軍緊密なる共同のもとに本八日早朝マレー半島方面の奇襲上陸作戦を敢行し着々戰果を擴張中なり
 

 大本營陸海軍部發表(十二月八日午後一時五十分)    
 本日必要の區域に防空の実施を下令せられた


 陸海軍省(十二月八日午後三時同時發表)    
 本日陸海軍大臣を宮中に召させられ、左の勅語を賜りたり

 勅 語
 曩ニ支那事變ノ發生ヲ見ルヤ朕カ陸海軍ハ勇奮健鬪既ニ四年有半ニ彌リ不逞ヲ膺懲シテ戰果日ニ揚ルモ禍亂今ニ至リ尚収マラス朕禍因ノ深ク米英ノ包藏セル非望ニ在ルニ鑑ミ朕カ政府ヲシテ事態ヲ平和ノ裡ニ解決セシメムトシタルモ米英ハ平和ヲ顧念スルノ誠意ヲ示ササルノミナラス却テ經濟上軍事上ノ脅威ヲ增強シ以テ帝國ヲ屈服セシメムト圖ルニ至レリ
 是ニ於テ朕ハ帝國ノ自存自衛ト東亞永遠ノ平和確立トノ爲遂ニ米英兩國ニ對シ戰ヲ宣スルニ決セリ
 朕ハ汝等軍人ノ忠誠勇武ニ信倚シ克ク出師ノ目的ヲ貫徹シ以テ帝國ノ光榮ヲ全クセムコトヲ期ス



 右勅語を拝受し陸海軍大臣は左の如く奉答せり

 奉答文
          
                                臣  英  機
          
                                臣  繁太郎
誠恐誠懼謹テ奏ス帝國未曾有ノ難局ニ方リ優渥ナル勅語ヲ賜フ臣等咸激ノ至ニ堪ヘス臣等協力一致死力ヲ盡シ誓テ聖旨ニ應ヘ奉ランコトヲ期ス臣英機臣繁太郎誠恐誠懼陸海軍ヲ代表シ謹テ奉答ス

 昭和十六年十二月八日
                                陸軍大臣 東條英機
 
                                海軍大臣 嶋田繁太郎

 大本營陸軍部發表(十二月八日午後五時)    
 我が陸軍飛行隊は本八日早朝來比島方面要衝に對し大挙空襲し甚大なる被害を與へたり

 大本營陸軍部發表(十二月八日午後五時)
 南支方面帝國陸軍飛行隊は八日早朝香港北方の敵飛行場を急襲し、同飛行場にありし十四機中十二機に低空銃撃を加へこれを炎上せしめたり
 我に損害なし



 大本營海軍部發表(十二月八日午後八時四五分)
  一、本八日早朝帝國海軍航空部隊により決行せられたるハワイ空襲において現在までに判明せる戰果左の如し
    戰艦二隻轟沈、戰艦四隻大破
大型巡洋艦約四隻大破
以上確実
他に敵飛行機多數を撃墜撃破せり
わが飛行機の損害は輕微なり
  二、わが潜水艦はホノルル沖において航空母艦一隻を撃沈せるものの如きもまだ確実ならず
  三、本八日早朝グアム島空襲において軍艦ペンギンを撃沈せり
  四、本日敵國商船を捕獲せるもの數隻
  五、本日全作戦においてわが艦艇損害なし


 大本營陸海軍部發表(十二月八日午後九時)
 帝國陸海軍航空部隊は本八日緊密なる協力のもとに比島敵航空兵力ならびに主要飛行場を急襲し、イバにおいて四十機、クラーク・フィールドにおいて五十乃至六十機を撃墜せり、我が方の損害二機

 大本營陸海軍部發表(十二月八日午後九時)
 帝國陸海軍は緊密なる協同のもとに本八日午後泰國に友好的に進駐を開始せり



 その3時間以上前、広島県柱島泊地の聯合艦隊旗艦「長門」の作戦室に、司令部附通信士の若い中尉が叫びながら飛び込んできました。

「当直参謀、ト連送です。飛行機隊の全軍突撃命令です」

通信参謀の和田雄四郎(海軍兵学校51期)中佐が受信紙を受取り、

「長官、お聞きのとおりです。発信時刻3時19分」と報告しました。

 折り椅子に深々と腰を下ろしていた山本は、この時はじめて目を大きく見開いて、無言のままうなずいたと記録されています。

 日本(2)-帝国陸海軍は、・・・

 聯合艦隊旗艦「長門」作戦室で作戦検討中の山本司令長官と幕僚
 (左から宇垣纏参謀長、山本長官、渉外参謀藤井茂中佐、戦務参謀渡辺安次中佐)

 また、この4分後に発信された「トラ連送(ワレ奇襲ニ成功セリ)」も、ハワイから3,500浬(1浬=1852m)離れた柱島の長門が直了(直接了解)したとされています。

 63年前の今日、泥沼の日中戦争(日支事変)に加え、破滅の道へと突き進む大東亜戦争がはじまりました。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 11:45│Comments(0)歴史/日本
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