中生代(4)−白亜紀(4)−恐竜の絶滅(2)
Radar topography reveals the 180 km (110 mi) wide ring of the Chicxulub Crater.
(旧暦 4月10日)
中生代(3)−恐竜の絶滅(1)のつづき
イリジウム(iridium:原子番号77、原子量192.2)は、石質隕石の炭素質コンドライト中の存在比10億分の500に比し、通常の地殻内では10億分の0.03の存在比でしかありません。
たった1cmの厚さしかないKT境界の粘土層のイリジウムの量が、50万年間続いた「29逆磁場期」と呼ばれる地球磁場の逆転期に堆積した6mの厚さの石灰岩に含まれるイリジウムの量に匹敵していたのです。
1978年、メキシコ湾沿岸で石油採掘を進めていたメキシコ石油公社のスタッフは、ユカタン半島の北部で奇妙な環状陥没構造を見つけました。飛行機による重力分布測定(石油発掘のための地質調査)の結果、重力異常の分布によって直径180kmのクレーターが海底に埋まっていると推定されました。
これこそが、今では恐竜類やアンモナイトなど地球上の動植物の75%以上が絶滅したとされる小惑星の衝突の痕跡、チクシュルーブ(Chicxulub)クレーターです。
1990年、アリゾナ大学の惑星学者メロシュ(H.Jay Melosh)らは、小惑星の衝突によって地球規模の火災が起こった状況を発表しました。
浅い海に小惑星が衝突した結果、小惑星は粉々に砕け散り、地殻のかなりの部分が気化して大気中に飛散しました。
Artist's rendering of a bolide impact.
気化した物質を中心とする上昇流(プルーム)は直径100〜200Kmに膨らみ、やがて地球上を覆いました。そして上昇流(プルーム)中の物質は地上へ落下し、無数の流星が落下してくるような状態で、落下速度は秒速2〜11Kmにもなり、大量の大気を数百℃に上昇させました。
1週間後、火災が地上をなめ尽くし、わずかに残ったのは丸裸になった樹木の残骸だけでした。そして、衝突や火災の煙で巻き上がった粉塵が徐々に地表に降り積もり、日光が遮られ、数ヶ月間は暗闇となりました。
この大火災によって、10兆トンの二酸化炭素と1000億トンの一酸化炭素、1000億トンのメタンが放出されたと推定されています。これは、現在のペースで消費される化石燃料により向こう3000年間に放出される炭素の量に匹敵すると試算されています。
また、衝突後の沈降物の同位体分析から、陸地環境が落ち着いて炭素環境が平衡状態に戻るのに13万年、深海への有機物の沈降が正常値に戻るまでに300万年要したと推定されています。
ま、生物種の大部分と無数の個体が失われましたが、いくつかの生命体は生き残り、再び繁殖しました。そして新たな進化の道が開け、私たち人類の誕生につながったという事実により、この大衝突は人類進化の源泉であったと云われています。
そうでなければ、今NHK教育テレビで深夜1:15分から放映しているアメリカのホームコメディ「恐竜家族」のように、きっと恐竜がこのようなブログを打ち込んでいたことでしょうね。
おしまい
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