アメリカ(2)-最後の氷河期
ホモ・サピエンス拡散の軌跡
(旧暦 12月26日) 立春 大石忌
今から約200万年前の新生代第4紀更新世前期から、約1万年前の完新世初期までの間に、少なくとも4回の氷期があり、それ以前の2回の氷期を加えて北半球では合わせて6回の氷期があったと言われています。
それぞれの氷期の間には比較的気候の穏やかな間氷期がありました。
これらの氷期がやってくる以前の北半球の地域は気候は温暖で、落葉広葉樹林におおわれていましたが、氷河期の訪れによって絶滅したり、あるいは南へと移動しました。
現在も北半球で氷河が見られますが、これらは陸地の10%をおおっているに過ぎず、最後のヴュルム氷期(約1万年前)には、全陸地の約27%が氷河におおわれていたと言われています。
氷河期には、海面は大幅に低下しました。地球の寒冷化によって氷が溶けず、川となって海に流れ込む水の量が減少したためです。
その結果海底の一部は海上に姿を現して陸地化し、ヴュルム氷期には海面が140mも低下したと言われています。
現在のベーリング海峡もヴュルム氷期には陸地化し、ベーリンギアと呼ばれる草の生えたツンドラ状の陸地が、アジア大陸と北米大陸を結んでいました。
(ベーリング陸橋)
アジアの東端、、今日のシベリアにいた人々は、最後の氷河期のある時点で、一時的にできたこの陸路を通ってアメリカ大陸の西端へ渡りました。
7万年から3万年前までの期間、2万5千年から1万5千年前の期間、そして1万4千年から1万年前の期間に、何度か通行可能だったと推測されています。
その後、海路による交通以外、新世界は旧世界から切り離され、独自の発展をしてきました。
これ以降、小集団が氷に覆われていない隘路をたどり、アラスカから徐々に南へ移動し、北部平原地帯へ、そこから広大な北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカの氷河に覆われていない地帯へ拡散していきました。
考古学による発掘調査によれば、1万2千年前には、すでに南北アメリカの全域に人が住むようになっていました。
彼らのことを、パレオ・インディアン(pareo indian)(古インディアン)と呼びます。
関連記事