中生代(1)-白亜紀(1)-スー(Sue)(1)

嘉穂のフーケモン

2005年01月12日 11:42

 

 Sue at the Field Museum of Natural History.

 (旧暦 12月 3日)

 1990年8月、米サウス・ダコタ州シャイアン川流域の先住民スー族の保留地の中の侵食された高さ17mほどの崖下で、ブラック・ヒルズ地質学研究所の女性古生物学者スーザン・ヘンドリクソン(Susan Hendrickson)博士は、小さな小さな骨の破片を見つけました。

 そして崖の上の方を見上げると、2mほど上の岩肌に、脊椎骨が3個突き出ているのを発見しました。

 これこそが、その所有権をめぐる訴訟問題とともに、その後ニューヨークで開かれた大手競売商サザビーズのオークションで手数料合わせて836万ドル(約9〜10億円)の高値で落札され一躍世界中の話題になった、中世代白亜紀後期約6700万年前の肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)、その名も「スー(Sue)」の物語の始まりでした。
 ちなみに、スー(Sue)という名前は、発見者の女性古生物学者スーザン・ヘンドリクソン(Susan Hendrickson)の名前から付けられました。
 「スー(Sue)」は、「スーザン(Susan)」の愛称で、残念ながら最後まで国家支配に抵抗した先住民のアパッチ族(Apache)とともに大平原の覇者であったスー族(Sioux)とは関係ありません。

 発見後、同州のブラックヒルズ地質学研究所の所長ピーター・ラーソンは、土地の所有者であるモーリス・ウイリアムズに5,000ドルを支払い、化石の権利を買取ったものと思っていました。

 しかし、1992年5月、FBI(連邦捜査局)の捜査官が令状を持って研究所を訪れ、スーの化石を押収してしまったのです。

 原因は、土地の所有者であるモーリス・ウイリアムズが他の先住民と同様に、土地の所有権を連邦政府に委託していたため、発掘作業には、連邦政府の許可が必要だったからでした。

 以下つづく
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