焼酎(2)-芋焼酎(2)-魔王

嘉穂のフーケモン

2005年01月09日 06:27

 

 (旧暦 11月29日)  青々忌

 樽で熟成させているお酒は、長く貯蔵している間に蒸発して少しずつ量が減っていきます。その減った分のことを、「天使の分け前」(Angel's Share)というそうですが、この天使を誘惑して魔界へ導くという意味で、『魔王』としゃれたネーミングをされたのがこの芋焼酎です。

 かつては長期熟成の芋焼酎は珍しい存在でしたが、この『魔王』は、吟醸酒に似たフルーティな香りと凝縮された甘さが特徴の芋焼酎です。

 芋焼酎といえば、6:4のお湯割と相場が決まっていましたが、現代的イメージで、オンザロックで飲むといいですね。
 ワインをつくるときに出るブドウの搾りかす(ブドウの皮や種子、果軸など)を蒸留してできる「グラッパ」というイタリアのお酒がありますが、『魔王』は、グラッパにも似た飲み口だとか。

 グラッパはすでに中世(10世紀)から珍重されていたようですが、金持ちたちは美味いワインと、そのワインを蒸留した酒(ブランデー)を飲んでおり、自分たちが育て上げたブドウでできたワインを飲めない農民たちが、後に残ったブドウの搾りかすから酒を蒸留し、グラッパを生んだのだといわれています。
 
 しかし、この『魔王』、口コミにより人気が出て、九州でもなかなか手に入りにくくなっているのは残念ですね。
 
 製造元は鹿児島県肝属郡大根占町にある白玉醸造合名会社で、創業は明治37年(1904)、焼酎、リキュール等の製品を手がけて来ています。
 本土最南端・大隅半島にあり、地場焼酎「白玉の露」をはじめ限定焼酎「魔王」「天誅」「元老院」、リキュールにおいては、「ポンカン酒」「白玉の梅酒」が有名です。
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