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2006年05月02日

天文(4)−シュワスマン・ワハマン第3彗星

 天文(4)−シュワスマン・ワハマン第3彗星

 Dust trail of Comet 73P/Schwassmann–Wachmann 3 by the Spitzer Space Telescope.

 (旧暦  4月 5日)

 このところ新聞紙上を賑わせている彗星に、シュワスマン・ワハマン第3彗星(73P/Schwassmann-Wachmann 3)があります。
 この彗星は、昭和5年(1930)5月2日にドイツのハンブルク天文台のアルノルト・シュヴァスマン(Friedrich Karl Arnold Schwassmann:1870〜1964)とアルノ・アルトゥール・ヴァハマン(Arno Arthur Wachmann:1902〜1990)によって発見された周期彗星(periodic comets)で、1930年の発見後にしばらく行方不明になり、1979年になって再発見されました。

 今回、1930年から76年ぶりに地球に最接近するそうで、国立天文台によれば、同彗星の明るさは1日現在で8等級程度、地球に接近するにつれて明るさを増し、12日頃の最接近時[地球から0.079天文単位(約1180万km)の距離を通過すると予想されている]には2等級〜5等級にまで明るくなり、肉眼でも確認できると期待されています。
 
 しかし、13日は月齢14の満月となるために、実際視認できるのは8日前後までで、それまでの午後8時ころには東北東の低い空のヘルクレス座付近に位置し、天候と周囲の環境に恵まれれば、小さな雲のように見える彗星が肉眼でも観察できる可能性があると報道されています。
  
 シュワスマン・ワハマン第3彗星(73P/Schwassmann-Wachmann 3)は、約5.36年の軌道周期で太陽を一周し、16年ごとに地球に接近します。
 元の核の大きさは直径約1.1kmと推定され、遠日点(恒星と惑星との距離が最も遠くなる点)は木星の外側に位置し、近日点(恒星と惑星との距離が最も近くなる点)は地球軌道の内側に入り込んでいます。

 平成7年(1995)10月初めに彗星核が分裂し、核はA〜D核の4個に分裂しました。平成12年(2000)の接近時には、A、D核の消滅が確認され、新たにE核が発見されていますが、本年4月現在、30個以上の分裂核が観測されているようです。
 このため、この彗星は将来完全に崩壊して見えなくなるものと考えられており、消滅した場合には彗星符号は、73Pから73Dに変更されます。
 彗星の軌道は概ね楕円軌道と考えられており、周期が200年以下のものは「短周期彗星」と呼ばれています。
 これまでに発見された彗星は2,000個以上で、800個以上の周期彗星が確認されており、そのうち174個が「短周期彗星」で、残りが「長周期彗星(周期が1万年〜100万年もしくはそれ以上のものもある)」と考えられています。

 彗星の名前は、平成6年(1994)に国際天文学連合(IAU:International Astronomical Union)が新しい命名方法を採用し、翌平成7年(1995)から実施されています。 
 出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 1. 以前に観測された記録が無い彗星
 
 符号は発見が報告された年、月、発見報告順を元にして付けられる。
 例) ヘール・ボップ彗星 「C/1995 O1」

 (1)  「C」は「Comet」を意味し、発見報告直後の全ての彗星にはこの符号が付けられるが、発見報告後の観測により軌道が楕円軌道であると分かり、その周期が200年未満の場合は「P」(Periodic)という符号が付けられる。
 放物線軌道、あるいは周期が200年以上の楕円軌道の場合は「C」のままであり、消滅したり、長期間回帰が観測されない彗星には「D」、彗星と思われていた彗星が小惑星だと分かった場合は「A」、軌道を求めることができなかった彗星には「X」を付ける。

 (2)  「1995」は、「1995年」を表し、発見された年が入る。

 (3)  「O」は発見が報告された時期を表す。1月上旬が「A」、1月下旬が「B」というように、1年を24に分けて表す。但し「I」は数字の「1」や、アルファベットの「J」と紛らわしいので使われない。そのため「O」は7月下旬を表す事になり、12月下旬は「Y」となる。

 (4)  「1」は、その彗星の発見が報告された時期内での発見報告順を表す。

 2. 以前に観測された記録が有る彗星
 
 「P」の符号が割り振られた彗星のうち、2回目の回帰が観測されたものに対して、国際天文学連合(IAU:International Astronomical Union)が順番に番号を割り振る。
 周期彗星リスト(List of periodic comets)には現在175個の彗星が登録されているが、1Pはもちろん最初に周期性が確認されたハレー彗星(1P/ Halley)で、2Pはハレー彗星の次に周期性が確認されたエンケ彗星(2P/Encke)、153Pは番号登録済みの周期彗星中で最長の周期374年を持つ池谷・張彗星(153P/ Ikeya-Zhang)、175Pは最新のハーゲンローザー彗星(175P/ Hergenrother)となる。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 22:42│Comments(0)天文
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