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2006年01月30日

歳時記(10)−冬(2)−ジャック・フロスト

 歳時記(10)−冬(2)−ジャック・フロスト

 Needle ice pushing up soil particles.
  

 (旧暦  1月 2日)

 What swords and spears, what daggers bright
 He arms the morning with! How light       
 His powder is, that’s fit to liett 
 On the wings of a butterfly!tt
 What milk-white clothing he has madet
 For every little twig and blade!tt
 What curious silver work is shownt
 On wood and iron, glass and stone!t
 ‘If you, my slim Jack Frost, can tracet
 This work so fine, so full of grace,t
 Tell me,’I said, ‘before I go.―tt
 Where is your plump young sister,t
 Snow ? ’
 ― W.H.Davies: ‘Frost’


 彼は何たる剣と槍、耀く短刀で
 朝を装わせることか!
 霜の粉は軽やかで
 蝶の羽の上に置くにふさわしい!
 小さな一枝一枝、一葉一葉の為に
 何という乳白色の衣を作ったことか!
 木材や鉄、ガラスや石の上に
 何とめずらしい銀細工が展示されていることか!
 私は尋ねた。 「華奢なジャック・フロスト、もしお前が気品に満ちた 
 この見事な作品の出所を探り当てることができるなら
 私が立ち去る前に教えてくれ、
 お前のふくよかな妹なる雪はどこにいるのか」


 英語では、霜や厳寒を擬人化した「Jack Frost」という言い方があります。
 Jack Sprat (一寸法師)、Jack Tar(水夫)、Jack-in-office(威張った小役人)などと共通して、親しみ或いは軽蔑の情を込めた云い方だそうで、“Before Jack Frost comes”(寒くならないうちに)と云うような日常会話の中でもよく使われているようです。

 また、General Winter(冬将軍)という冬を擬人化した言葉もありますが、これはモスクワに攻め入ったナポレオン軍が、ロシアの冬の厳寒と雪に悩まされて敗走した史実からきているそうです。
 1812年6月23日、ナポレオンの指揮による27万のフランス軍を主体とした同盟国の軍隊を含む60万の大陸軍(La Grande Arme)がプロイセン・ロシア国境のニエーメン川を渡ってロシア遠征の途につき、1812年9月14日、モスクワに入城しましたが、14日の夜からモスクワの大火が起き、モスクワの町は4日間にわたって燃え続け、町の4分の3が焼失してナポレオン軍は住居も食料も失ってしまいました。

 ナポレオンはアレクサンドル1世との和平交渉を試みましたが進展はなく、冬が近づいていたため、1812年10月19日、モスクワからの撤退を決意しました。
 撤退するナポレオン軍に対して、ロシア軍のコサック騎兵や農民のゲリラが襲い掛かかり、また11月に入ると冬が到来し、飢えと寒さで死亡する者が続出、撤退の過程で、大陸軍では37万が死亡し20万が捕虜となったということです。

 11月末にベラルーシ共和国内を流れるドニエプル川の支流ベレジナ川に到達したのは2万7千名、1812年12月10日、ニエーメン川を越えて帰還できたのはわずか5千名でした。
 
 それから129年後の1941年6月22日午前3時15分、バルト海から黒海までの約2100?に及ぶ長大な独ソ国境において、戦車19個師団を含む149個師団約313万人のドイツ軍が、2年前の1939年8月23日に締結された独ソ不可侵条約を無視して、一斉に侵攻を開始しました。

 11月末には、ドイツ軍はクレムリンから25kmのモスクワ郊外まで到達していましたが、例年よりも早く冬が到来し、ドイツ軍の戦闘車両や火器は寒冷のため使用不能に陥り、それ以上は進撃できなくなってしまいました。

 ドイツ軍は守勢に立たされ、12月5日、またもやモスクワ攻略戦(タイフーン作戦、Tiefenrüstung)は失敗に終わってしまいました。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 23:46│Comments(0)歳時記
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