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2006年01月15日

クラシック(16)−バッハ(3)−カンタータ第152番

 クラシック(16)−バッハ(3)−カンタータ第152番 

 Johann Sebastian Bach im Jahre 1746, mit Rätselkanon. Ölgemälde von Elias Gottlob Haußmann

 (旧暦 12月16日)

 《苦悩を突き抜けて歓喜に至れ》(Durch Leiden zur Freude zu gehen.)という言葉は、ベートーベンの書簡集を編纂した岩波文庫の『ベートーヴェンの手紙』の中にも納められている有名な言葉で、もちろんベートーベンの生涯の生き様を表した言葉ではありますが、この言葉はかのヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach、1685〜1750)が作曲したカンタータ、《出で立て、信仰の道に》(Tritt auf die Glaubensbahn)《降誕祭後第1日曜日の為のカンタータ》(Kantate zum Sonntag nach Weihnachten)という曲の歌詞の中でも見ることができ、どうもキリスト教の一種の慣用句だったのではないでせうか。

 カンタータ第152番 《出で立て、信仰の道に》 BWV152
 この第6曲目は、ソプラノとバスのデュエットで魂とイエスの対話という形式になっています。

 6. [Soprans&Basses Arie (Duett)] 

  Seele (S), Jesus (B) 魂(ソプラノ)、イエス(バス)
  Sopran (ソプラノ)
  Wie soll ich dich, Liebster der Seelen, umfassen?        魂の最愛なる方よ、如何にして我は汝を抱かん?
  Bass (バス)
  Du musst dich verleugnen und alles verlassen!         汝は自身を抑え、全てを捨てねばならぬ!
  Sopran (ソプラノ)
  Wie soll ich erkennen das ewige Licht?              如何にして我は永遠なる光を知らん?
  Bass (バス)
  Erkenne mich gläubig und ärgre dich nicht!    我を信仰によりて知り、怒ってはならぬ!
  Sopran (ソプラノ)
  Komm, lehre mich, Heiland, die Erde verschmähen!  来たりて我に教え給へ、主よ、大地が蔑む方よ!
  Bass (バス)
  Komm, Seele, durch Leiden zur Freude zu gehen!       来たれ、魂よ、苦悩を突き抜けて歓喜に至れ!
  Sopran (ソプラノ)
  Ach, ziehe mich, Liebster, so folg ich dir nach!          おお、我を導き給へ、最愛なる方よ、我は汝に従わん!
  Bass(バス)
  Dir schenk ich die Krone nach Trübsal und Schmach.  我は汝に苦難と恥辱の後に王冠を贈らん!
 この曲は、『ルカによる福音書』第2章、33〜40節のシメオンとアンナによるイエスの将来の預言をモチーフとして、詩人でcantata textsの作者フランク(Salomo Franck 、1659 ?〜1725)による歌詞を元に、1714年12月30日にドイツのヴァイマルで初演されています。

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、カンタータ(cantata、交声曲)は、声楽曲の名称のひとつで、本来は「歌われるもの」、「歌唱」の意味であり、動詞cantare(歌う)の分詞形です。
 ちなみにソナタ(sonata)は「演奏されるもの」との意味だとか。
 また、一般にはオーケストラ伴奏付きの声楽曲で、1曲のカンタータは複数の楽曲、すなわち、独唱曲(アリア、レシタティーボ)、重唱曲、合唱曲から構成されます。

 キリスト教の題材を扱ったカンタータは「教会カンタータ」と呼ばれ、ヨハン・セバスティアン・バッハは、200番までの教会カンタータを作曲しています。

 カンタータ第147番《心と口と行いと生活》(Herz und Mund und Tat und Leben)の中の第10曲のコラール(Choral)「主よ、人の望みの喜びよ」(Jesus bleibet meine Feude)は有名で、一度は聞いたことのあるメロディですね。

 最初はベートーベンのピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13《悲愴》について書くつもりでしたが、始めから脱線してしまいました。《悲愴》についてはこの次の機会に。
 しかし、ベートーベンは暗い・・・。

 アカルサハ、ホロビノ姿でアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。

とは、太宰治の『右大臣実朝』の一節ですが、ま、そんなものでございますかな。

 平家ハ、アカルイ。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 23:22│Comments(0)音楽/クラッシック
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