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2006年01月05日

漢詩(10)−杜甫(2)−飲中八仙歌(1)

 漢詩(10)−杜甫(2)−飲中八仙歌(1)

 飲中八仙

 (旧暦 12月 6日 小寒)

 知章騎馬似乘船   知章が馬に騎(の)るは船に乘るに似たり
 眼花落井水底眠   眼(まなこ)は花(くら)み井に落つるも水底に眠る

 汝陽三斗始朝天   汝陽は三斗にして始めて天に朝す
 道逢麹車口流涎   道に麹車に逢いて口より涎(よだれ)を流し
 恨不移封向酒泉   封を移して酒泉に向かわざるを恨む

 左相日興費萬錢   左相は日に興(お)きて万錢を費やし
 飲如長鯨吸百川   飲むは長鯨の百川を吸うが如し
 銜杯樂聖稱避賢   盃を銜(ふく)みて聖を楽しみ賢を避くと称す

 宗之瀟洒美少年   宗之は瀟洒(しょうしゃ)たる美少年
 舉觴白眼望青天   觴(さかずき)を舉げて白眼晴天を望めば
 皎如玉樹臨風前   皎(きょう)として玉樹の風前に臨むが如し

 蘇晉長齋繍仏前   蘇晋は長斎す繍仏の前
 醉中往往愛逃禪   醉中往往 逃禅を愛す

 李白一斗詩百篇   李白は一斗詩百篇
 長安市上酒家眠   長安市上酒家に眠る 
 天子呼來不上船   天子呼び來たれど船に上らず
 自稱臣是酒中仙   自ら稱す臣是れ酒中の仙と
 
 張旭三杯草聖傳   張旭は三杯にして草聖と傳う
 脱帽露頂王公前   脱帽して頂を露はす王公の前
 揮毫落紙如雲煙   毫を揮いて紙に落せば雲烟の如し

 焦遂五斗方卓然   焦遂は五斗方めて卓然
 高談闊論驚四筵   高談闊論(かつろん)して四筵を驚かす
 漢詩(10)−杜甫(2)−飲中八仙歌(1)

 まぼろしの芋焼酎「伊佐美」、むっ!まろやか!

 小寒は古代中国の季節区分法二十四節気のひとつで、太陽の視黄経が285度の日をさし、太陰暦の12月初旬から中旬、太陽暦では1月5,6日頃に当たります。寒さの厳しい時期で寒の入りとも言われますが、今日の板橋村は空っ風が強くて本当に寒く、冬〜という感じです。

 二十四節気は、太陽が春分点を出て再び春分点に戻るまでを黄経360度(周天360度)とし、これを二十四等分した位置にそれぞれの節気を配置して、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒と名付け、各節気の一期間は約15日間となっています。
 従って、これからの約一月は一年で一番寒い季節ですから、お互いインフルエンザに罹らないよう外出から帰ったら、手洗いとうがいを励行したいものです。
 
 ところでこんなに寒いと、熱燗が恋しくなりますが、杜甫が「飲中八仙歌」の第一聯で詠った賀知章(659〜744)は、詩仙と称された李白(701〜762)の才能を見いだした人物とされています。

 賀知章、字は季真、号は四明狂客、越州永興(現・浙江省蕭山市)の人です。四明は越州(浙江省紹興)の名山で、その昔、遣唐使船が出入港し、私「嘉穂のフーケモン」が荒天の東シナ海を郵船クルーズの客船「飛鳥」で渡って到着した寧波(ニンポー)が明州と呼ばれたのは、この山の名に由来すると云われています。

 則天武后(624〜705、在位690〜705)の時代に進士に及第し、国子四門博士を授けられましたが、間もなく太常博士となりました。
 その後、開元13年(725)には礼部侍郎(文部次官)となり、集賢院学士も兼ね、やがて太子待読に累進しました。第6代皇帝玄宗の第3子で第7代皇帝肅宗(711〜 762、在位756〜 762)が皇太子の時代には太子賓客となり、秘書監を授けられましたが、のんびりとしていてものにこだわらない性格で、談笑が好きであり、人々から慕われていました。

 しかし晩年には引退して、自ら四明狂客・秘書外監などと号して町を遨遊していたと云うことです。

 以下つづく

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 23:27│Comments(0)漢詩
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