2005年12月30日
先カンブリア時代(3)−全球凍結(3)
Snowball Earth
(旧暦 11月29日)
横光忌、利一忌 「機械」、「上海」、「寝園」、「紋章」、「旅愁」四篇(未完)等の作品を著した新感覚派の旗手横光利一の昭和22年(1947)の忌日
先カンブリア時代(2)−全球凍結(2)からつづく
8億年前から6億年前の期間に訪れたスターティアン氷期(Sturtian glacial period)やヴァランガー氷期(Varangian glacial period )と呼ばれる2度の氷期における全球凍結が起きた原因については諸説があって未だ確定したものは無いようですが、ひとつの仮説として二酸化炭素の減少による温室効果の喪失によるものがあります。
1. 当時の地球上には、約10億〜7億年前に誕生し、約6億年前に分裂を開始したと考えられている超大陸ロディニア(Rodinia; based on a Russian word for "homeland")が存在していましたが、その分裂による裂け目に生じた広大な浅い海は、光合成により酸素を発生する細菌シアノバクテリアや光合成藻類の繁殖地となり、その光合成により大気中の二酸化炭素は大量の有機物となって海底に蓄積されて行きました。
2. この大気中の二酸化炭素の減少により、温室効果が次第に失われて地球全体の寒冷化が始まり、極地から発達してきた氷床は赤道にまで及んで太陽光を反射し、一層の寒冷化を促していきました。
3. 一度加速した寒冷化は相乗効果によって進行し、最近の全球凍結時の気温分布シミュレーションによれば、極地で−90℃、赤道付近で−50℃、陸上では3,000m級の氷床に覆われ、海洋では水深1,000mまで凍結するスノーボールアース(Snowball Earth、全球凍結)と呼ばれる状態になり、数千万年続いたと考えられています。
4. 凍結しなかった深海底や地中深部ではごく微少な範囲での生命活動が維持され、凍結中でも火山活動による二酸化炭素の供給(年間約9千万トン)が続けられて、大気中の二酸化炭素濃度が高まって行きました。
5. 火山活動の放出による大気中の二酸化炭素濃度が一定比率に達すると気温が上昇しはじめ、大量の二酸化炭素の温室効果によって一気に氷床の解凍が始まり、大気温は約50℃まで上昇したと推測されています。
6. 海水の表面温度が45℃を越えたときに、「ハイパーハリケーン」と呼ばれる中心気圧300ヘクトパスカル、最大瞬間風速300m以上の猛烈な巨大ハリケーンが発生し始め、海上は大時化になり、海岸には高さ100mの巨大な高波が押し寄せたと計算されています。
7. 温暖化した気候の影響により岩石の風化が促進されて大量の金属イオンが海中に供給され、また、全球凍結期間中に海底の熱鉱床から噴出したミネラル分が「ハイパーハリケーン」によって攪拌され、浅い海にまで持ち上げられました。
8. 大気中の高濃度の二酸化炭素は海水中のカルシウムイオン等と反応して大量の炭酸カルシウムとなって沈殿し、50m以上にも及ぶ分厚い炭酸塩岩層が海底に形成されました。
こうして全球凍結後の地球では、浅い海の海水に含まれたミネラル分を養分として緑色の光合成生物が浅い海全域に広がり、大量の酸素を大気中に放出します。
酸素濃度が低かった時代には、酸素呼吸する生物にとって酸素は貴重品でしたが、酸素濃度の増加により水にほとんど溶けない、繊維状のタンパク質である大量のコラーゲンを作ることができるようになり、生物は体を大きくするだけではなく、複雑な構造の器官が進化するのを手助けし、今日のように進化することができたと考えられています。
まさしく、この全球凍結のおかげで、私たちは進化し続けることができたのでした。
いや〜、地球って本当に生命の母なる大地なんですね〜。
おしまい
5. 火山活動の放出による大気中の二酸化炭素濃度が一定比率に達すると気温が上昇しはじめ、大量の二酸化炭素の温室効果によって一気に氷床の解凍が始まり、大気温は約50℃まで上昇したと推測されています。
6. 海水の表面温度が45℃を越えたときに、「ハイパーハリケーン」と呼ばれる中心気圧300ヘクトパスカル、最大瞬間風速300m以上の猛烈な巨大ハリケーンが発生し始め、海上は大時化になり、海岸には高さ100mの巨大な高波が押し寄せたと計算されています。
7. 温暖化した気候の影響により岩石の風化が促進されて大量の金属イオンが海中に供給され、また、全球凍結期間中に海底の熱鉱床から噴出したミネラル分が「ハイパーハリケーン」によって攪拌され、浅い海にまで持ち上げられました。
8. 大気中の高濃度の二酸化炭素は海水中のカルシウムイオン等と反応して大量の炭酸カルシウムとなって沈殿し、50m以上にも及ぶ分厚い炭酸塩岩層が海底に形成されました。
こうして全球凍結後の地球では、浅い海の海水に含まれたミネラル分を養分として緑色の光合成生物が浅い海全域に広がり、大量の酸素を大気中に放出します。
酸素濃度が低かった時代には、酸素呼吸する生物にとって酸素は貴重品でしたが、酸素濃度の増加により水にほとんど溶けない、繊維状のタンパク質である大量のコラーゲンを作ることができるようになり、生物は体を大きくするだけではなく、複雑な構造の器官が進化するのを手助けし、今日のように進化することができたと考えられています。
まさしく、この全球凍結のおかげで、私たちは進化し続けることができたのでした。
いや〜、地球って本当に生命の母なる大地なんですね〜。
おしまい
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