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2005年10月03日

数学セミナー(8)−相対性理論(1)−特殊相対性理論(1)

 数学セミナー(8)−相対性理論(1)−特殊相対性理論(1)

 James Clerk Maxwell(1831〜1879)

 (旧暦  9月 1日)

 蛇笏忌 俳人飯田蛇笏の昭和37年(1962)年の忌日

 芥川龍之介氏の長逝を深悼す
 たましひの たとへば秋のほたるかな


 19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、物理学はそれまでの理論では説明することのできない様々な現象に遭遇しました。
 その一つが、力学の理論的な結論であるニュートン力学と、電磁気学の理論的な結論であるマクスウェルの方程式が相矛盾することで、当時の大きな問題となっていました。

 ニュートン力学によれば、例えば一定速度Vで動いている電車を座標系Rとし、地上を座標系Sとすると、電車の中で速度V(R)で運動しているボールは、地上から見るとV(R)+Vで運動しているように見えます。
 つまり、 

 数学セミナー(8)−相対性理論(1)−特殊相対性理論(1)

の関係が成り立ちます。

 これは、ガリレイ変換( Galilean transformation)と呼ばれ、ある慣性系(運動の法則が成り立つ所)における物理現象の記述を、別の慣性系での記述に変換するための座標変換の方法の一つです。
 つまり、電車の中の座標系Rでも地上の座標系Sでも、同じ運動の法則が成り立つことから、「ニュートン力学から導かれる力学の法則はガリレイ変換に対して不変である」(ガリレイ不変)ことが知られていました。

 これに対しマクスウェルの方程式は、真空中の光(電磁波)の速度は、座標系によらずに一定であることを示していました。つまり、マクスウェルの方程式からは、電車の中からみた光の速度V(R)と、地上から見た光の速度V(S)も電車の速度に関係なく共に等しく、

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でなければならないと云うものでした。

 例えば、光速に限りなく近い宇宙船の中での光速は、地球上から見れば古典力学では、

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となるはずですが、実際は

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となってしまいます。
 ジェームズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell, 1831〜1879)はイギリスの理論物理学者で、マイケル・ファラデー(Michael Faraday, 1791〜1867)による電磁場理論をもとに、1864年にマクスウェルの方程式(Maxwell's equations)を導いて古典電磁気学を確立しました。さらに電磁波の存在を理論的に予言し、その伝播速度が光速度に同じで、横波であることを証明しています。

 マクスウェルは、電気とそれによって生じる電場と磁場の関係を、簡潔な4つの方程式にまとめました。

 電場E、磁場H、電束密度D、磁束密度B、電荷密度ρ、電流密度i とすると、

 1. 磁束密度の時間変化が、変化の方向を回転軸とする電場の渦をつくる。
 (電磁誘導の法則)

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 2. 電束密度の時間変化が、変化の方向を回転軸とする磁場の渦をつくる。電流もまた磁場の渦をつくる。
 (アンペールの法則の一般化)

 数学セミナー(8)−相対性理論(1)−特殊相対性理論(1)
    
 3. 電荷があれば、電束密度がわきだす。 (ガウスの法則)

 数学セミナー(8)−相対性理論(1)−特殊相対性理論(1)
     
 4. 磁場をわきださせるものはない。(磁場に対するガウスの法則)
 
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 ここで、(∇×)は、回転(ローテーション)と呼ばれ、電場ベクトルが作る渦の回転軸の方向を表すベクトルに変換してくれる演算です。
 Eは電場ベクトルで、(Ex , Ey , Ez)とあらわされ、

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 また、(∇・)は、発散(ダイバージェンス)と呼ばれ、ベクトルがある微小領域からどれだけ発生するかを表しているをあらわしています。

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 以下つづく

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 19:25│Comments(0)数学セミナー
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