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2005年07月02日

書(9)−米芾(べいふつ)−蜀素帖

 書(9)−米芾(べいふつ)−蜀素帖

 集英春殿鳴梢歌

 蜀素帖 米芾 [北宋] 絹本墨跡 台北故宮博物院 維基百科より

 (旧暦  5月26日)

 蜀素は、10世紀の始めに前蜀(907〜925年:四川省成都)の王・王建(847〜918)が織らせた厚手の絹布で、墨を受付けない「拒墨の絹」と云われています。
 何人もの書家が挑戦しましたが、墨がはじかれとうとう書くことができませんでした。

 しかし、米芾(べいふつ)(1051〜1107)は、そのような蜀素に楽々と字を書いたと云われていますが、現存するのはこの「蜀素帖」のみだそうです。
 http://homepage2.nifty.com/tagi/koten021.htm

 中国北宋の時代(960〜1127)は書道芸術が花開き、宋四家と呼ばれる黄庭堅(山谷)(1045〜1105)、米芾(元章)、蘇軾(東坡)(1036〜1101)、蔡襄(君謨)(1012〜1067)ら中国美術史上錚々たる地位を占める人たちを輩出しました。
 元祐3年(1088)9月、米芾は当時浙江省湖州の知州(知事)であった林希の招きでその任地を訪れ、そのとき林希の求めに応じて蜀の素(きぬ)の巻物に自作の諸体の詩7首を書きました。

 この蜀素の末尾には、それより20年前の煕寧元年(1068)に林希が次のように書いています。
 「この蜀素1巻は慶暦4年(1044)に蜀の東川で織られたもので、爾来20余年我が家に蔵しているが、今度装幀をして善書の人々に字を書いてもらうことにした。」
 それから更に20年後に米芾が揮毫したことになります。

 書(9)−米芾(べいふつ)−蜀素帖

 慶歴甲甲歳東川造
 蜀素一巻蔵余家者二十
 餘年今既装褫将屬諸
 善書者題其首煕寧元
 年戊申三月丙子呉郡記
          希子中


 米芾以前にも幾人かの人が書いたようですが、今は米芾が揮毫した書と煕寧8年(1076)の胡宗兪の題識のみが残っているそうです。

 明の沈周、顧従義、董其昌の跋、文徴明の識語があり、清の著名な文人の王鴻緒、高士奇等の所蔵を経て、清の第6代皇帝・乾隆帝(在位1735〜1795)に献上され、今は台北の故宮博物院に保管展示されています。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 15:50│Comments(0)
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