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2005年06月08日

新生代(7)−第四紀(1)−マンモス

 新生代(7)−第四紀(1)−マンモス

 マンモスの骨格化石(国立科学博物館)

 (旧暦  5月 2日) 長明忌 「方丈記」を著した鎌倉時代の歌人で随筆家の鴨長明の忌日。
 
 マンモスと一口で言ってもいろいろな種類に分類されていて、コロンビアマンモス(Mammuthus columbi)やインペリアルマンモス(Mammuthus imperator) など主な分類だけでも10種類以上あるようですが、私たちが通常マンモスと呼んでイメージしているのは、ケナガマンモス(Mammuthus primigenius) 別名ウーリー(Woolly)マンモスで、ドイツの生理学者・人類学者Johann Friedrich Blumenbach (1752〜1840)によって, 1799年に分類されました。

 体中が長い毛でおおわれ、肩の高さが3mでやや小型の種に属します。更新世(180万年〜1万年前)の後期に北半球の冷温帯草原からツンドラ地帯にかけて生息していました。

 新生代(7)−第四紀(1)−マンモス
 
 マンモスというと大きい物のたとえのように思われていますが、大きいゾウでは肩高5m近いパレオロクソドン(palaeoloxodon antiquus)という巨象もいたようですから、実際はやや小型の種に属するようです。
 シベリアの永久凍土層からは氷漬けになった個体が見つかっており、日本でも北海道で見つかっています。
 第四紀更新世は、大陸の形は現在とほとんど変わりませんが、 氷期・間氷期の氷床の拡大・縮小による海水準変動に伴って、海岸線の位置が移動しました。
 更新世の後期では、海水準にして100数十mの変動があり、海水準が低下した時期は、現在浅い海である海域の多くが陸地となっていました。そのため、現在のベーリング海峡などは、ヴュルム氷期(Wurm glaciation)(7万年〜1万8500年前))にはベーリング陸橋となり、ベーリンギアと呼ばれる草の生えたツンドラ状の陸地が、アジア大陸と北米大陸を結んでいました。

 マンモスは、更新世末期にあたる約4万〜数千年前に、多くの大型哺乳類と共に絶滅しましたが、最後のマンモスは、紀元前1700年頃に、東シベリアの沖合にあるチュコト海のウランゲリ島で狩猟されたという説が提起されています。

 絶滅の原因は、氷河期末期の気候変動に伴う植生の変化とする説があります。
 約1万年前に氷河期が終わり、高緯度地域の気温が10℃程度上昇しましたが、それまで乾燥した大地であったシベリアは柳やイネ科の草が広がる草原でしたが、温暖化に伴って湿潤化し、一年の半分は大量の雪が降り積もる植物の生育に適さない大地へと変貌していきました。マンモスの食料となる草木は激減し、マンモスもシベリアから消えていったという説です。

 その他の仮説は、人類の狩猟の対象になったことが原因とするものです。
 シベリアにいた人々は、ベーリング陸橋を通って1万2千年前には、すでに南北アメリカの全域に住むようになっていたと考古学上では考えられていますが、人類がマンモス狩猟に使用した石器はマンモスの骨に突き刺さって残されており、アメリカ最古と認められた約7千年前のこの種の石器がニューメキシコ州クロビスで発見されて、クロビス石器と名付けられています。

 そして、この種の石器が出土する1万千年前ごろと前後して、マンモスは地上から姿を消し始めています。アメリカ大陸に人類が進出して800年ほどでマンモスは絶滅しているという計算もあるようです。
 1度に1頭しか子供を産まない大型哺乳類であるマンモスは、狩猟に弱い動物であったのでしょうか。しかし、インド象やアフリカ象は生き残っているので、不思議としか云いようがありませんね。

 今年、愛知県で開催されている愛・地球博では、ロシア北東部のサハ共和国で発掘されたユカギルマンモスの冷凍凍結された牙、頭部、左前肢等を展示しており大人気のようですが、展示室の前を移動床で2分程度で通り過ぎるのでは味気ないではあ〜りませんか。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 20:38│Comments(0)新生代
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