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2005年05月25日

新生代(6)−第三紀(6)−インドリコテリウム

 新生代(6)−第三紀(6)−インドリコテリウム

 インドリコテリウムの骨格化石(国立科学博物館)

 (旧暦  4月18日) 

 有無の日  第62代村上天皇の康保4年(967)の忌日。 村上天皇は、急な事件のほかは政治を行わなかったことから名付けられたとか。
 
 1910年、イギリスの古生物学者クーパー(C. Forster Cooper)がパキンスタンのバルチスタン州 Dera Bugti丘陵で発見したこの化石は、体長10m、肩高5.2m、体重30tもあり雲をつくような巨体で、地球始まって以来の陸生獣でした。

 平均的なアフリカゾウが、肩高3.2m、体重6t程度なので、陸生哺乳類としてはいかに巨大だったかがわかります。

 この種属の化石については、発見者によってバルキテリウム(Baluchitherium)やパラセラテリウム(Paraceratherium)など種々の名前がついていますが、最近ではインドリコテリウム(Indricotherium)が一般的なようです。
 名前の起源に関しては、ロシアの古生物学者Borissiakが1913年に命名しましたが、" thorium" は獣を意味するギリシャ語で、また" Indrik" はロシアの神話の獣です。

 その神話によれば、" Indrik" は動物界の主で水を支配し、彼が動くと大地が震えるという"unicorn"(一角獣)と同じような獣ですが、今までに地球を歩いた最も大きい哺乳動物の名前としてはふさわしいものと云われています。
 
 神話の "Indrik" は2本の角を持っていますが、" Indricotherium"には角がありません。" Baluchitherium" は、「バルチスタンの獣」を意味しますが、"Paraceratherium"の意味については定かではありません。

 インドリコテリウムは、漸新世から中新世の早い時期(およそ3千300万年から2千300万年前)に、中央アジアの森林地帯、特に現在のパキスタンと中国に生息していました。足には3本の趾骨(足指の骨)を持ち、頸が長く角を持たないサイの一種でした。

 その長い首と足で高く上へ伸びた木の葉を食べ、その量はおよそ1日2tにも及んだと考えられています。また、鼻骨の状態はウマに似ており、嗅覚、聴覚ともウマのようで、走る姿はキリンとウマを混ぜたようであったと想像されています。鹿と馬のようでなくて良かったですね。

 新生代(6)−第三紀(6)−インドリコテリウム

 分類は、哺乳綱−獣亜綱−真獣下綱−奇蹄目(ウマ目)−有角亜目−サイ科−バルキテリウム亜科となります。

 奇蹄目は、指先で歩く指行性で、体重が足の第3指にかかり指を開いた形で進化し、第1指と第5指が退化して無くなっています。爪は半円形(馬蹄形)をした蹄となっています。

 この種の獣が今日も生息していれば、動物園の人気者となったことは間違いありませんが、これだけの巨体を維持するために、実際どれだけの餌を食べたことでしょうね。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 19:39│Comments(0)新生代
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