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2005年04月28日

歳時記(2)−春(1)−郭公

 歳時記(2)−春(1)−郭公

 Chkoo(Cuculus canorus)

 (旧暦  3月20日)

 郭公は、夏、日本に渡来するカッコウ科の渡り鳥で、自分では巣を作らず、モズやホオジロなどの巣に卵を産んで雛を育てさせるそうですが、別名閑古鳥、呼子鳥とも呼ばれています。

 学名はCuculus canorus、英語名はchkooと云い、1年に1,2個くらいの卵を産み、その1個ずつを他の小鳥の巣に持って行き、その鳥がいない時を見計らって卵のひとつを取り除いて、代わりに自分の卵を置くというとんでもない習性があります。これを「寄託育成」というそうです。

 その際、卵の大きさも色も同じような養い親鳥を選び、雛が生まれると足で他の雛を巣から落として、養い親が運んでくる餌を独占し、養い親よりも数倍大きな鳥になって3週間くらいで、親の郭公が呼ぶ声を慕って巣立ちします。
 Shakespeareは、King Lear,Act.iv.235-6で次のように書いています。

 The hedge-sparrow fed the cukoo so long,
 That it had it head bit off by it young.


 庭のすずめが郭公を長く養い過ぎたので、雛に頭をつつき切られた。

 むかし、雪が解けて新緑が芽生える季節になると、北大恵迪寮の裏手の原生林に郭公がやって来て「カッコウ、カッコウ」と鳴き声をあげ、朝の眠りを覚まさせたものでした。

 昭和3年度寮歌「郭公の声に」でも次のように歌われています。

 郭公の声に迷夢の夜は明けて
 紫紺の雲の色も褪めゆき
 春芝草に風のそよげば
 旭光は見よ東雲(しののめ)の沈黙(しじま)を破り
 自然の精姿(すがた)紅(あけ)に揺らぎぬ
 讃えなんうら若き日の朝の神秘(くしび)を


 中国および日本ではホトトギス(杜鵑、子規、不如帰、蜀魂)、カッコウ(郭公、霍公)の2種類が生息しますが、いずれもその鳴き声によって名付けられたものだと考えられています。

 古来から「やまとうた」に良く詠まれたホトトギスの鳴き声は高く鋭く、「テッペンカケタカ」、「トッキョキョカキョク」などと聞き取れます。

 古今集でも巻11の恋歌1で、
 
 題しらず      読人しらず
 ほとゝぎす鳴くやさ月のあやめ草 あやめも知らぬ恋いもするかな (469)


 との有名な歌がありますが、これを本歌取りした新古今集の中の九条良経(1169〜1206)の歌もしみじみとして趣のある歌ですね。

 うちしめりあやめぞかをる郭公(ほととぎす) 鳴くや五月の雨のゆふぐれ (夏・221)

 ところで、ホトトギスとカッコウ(郭公)は違うはずなのに、これはどうしたわけでしょうね。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 21:43│Comments(0)歳時記
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