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2005年03月13日

パイポの煙(14)−三十六計

 パイポの煙(14)−三十六計

 孫子の兵法書

 (旧暦  2月 4日)

 中国民衆の生活に密着した人生の知恵は、様々な「ことわざ」になって日本にも伝えられていますが、その中に「三十六計、逃げるにしかず」という「ことわざ」があります。

 これは、兵法三十六計の最後が「走為上」(走るを上と為す=逃げるのが一番)であることからきています。

 「兵法三十六計」は人間関係の指南集であり、日常生活の知恵として役立つため、中国では庶民にも広く暗唱されているそうです。

 瞞天過海、囲魏救趙、借刀殺人、以逸待労、趁火打劫、声東撃西
 無中生有、暗渡陳倉、隔岸観火、笑裏蔵刀、李代桃僵、順手牽羊
 打草驚蛇、借屍還魂、調虎離山、欲擒姑縦、抛磚引玉、擒賊擒王
 釜底抽薪、混水模魚、金蝉脱殻、関門捉賊、遠交近攻、仮道伐虢
 偸梁換柱、指桑罵槐、仮痴不癲、上屋抽梯、樹上開花、反客為主
 美人計、空城計、反間計、苦肉計、連環計、走為上

 「兵法三十六計」は、6段階ごとに6計ずつ分類されています。
 漢文の英知を紹介した『漢文力』(中央公論新社)などを執筆した広島大学の加藤徹助教授によれば、第1段階の6計は、こちらが戦いの主導権を握っている場合の作戦の定石で、例えば「以逸待労」すなわち「逸を以て労を待つ」は、自分は楽をして敵が疲れるのを待つという策。

 第2段階の6計は、余裕をもって戦える場合の作戦。
例えば「隔岸観火」すなわち「岸を隔てて火を観る」は、自分は安全圏にいて様子を見守るという作戦。

 第3段階の6計は、相手が一筋縄ではゆかぬ場合。
例えば「調虎離山」すなわち「虎を山林からおびき出す」は、敵を本拠地からおびき出し、味方に有利な戦場で戦う戦術。

 第4段階の6計は、相手が手強い場合。
例えば「釜底抽薪」は「煮えたぎる釜の底から薪を取り除く」、つまり正面攻撃を避け、敵の後方の補給路を攻めて相手の戦力をそぐ作戦。

 第5段階の6計は、敵の方が強い場合。
例えば「仮痴不癲」は、馬鹿のふりをして相手を油断させる策略。

 第6段階の6計は、敵が圧倒的に強い場合。
例えば「美人計」は、敵に美女を贈って戦意を蕩かしてしまう謀略とか。そして叶わなければ、「走為上」、つまり逃げるのが一番と云うことになります。
 
 なかなかおもしろく、「なるほど」と頷けることが多いのですが、いずれにしても「生兵法は怪我のもと」、「策士、策に溺れる」とも云われているので、「ほどほどに」ということです。
 ただ、失敗して行き詰まった時でも中国人は、「どんな状況でも打つ手はあるさ」と前向きに考えすぐに立ち直るのだとか。
 人生、このような楽観主義でゆきたいものですね。

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Posted by 嘉穂のフーケモン at 20:39│Comments(0)パイポの煙
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