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2017年10月17日

数学セミナー(31)− ロバートソン・ウォーカー計量(1)

  

  

  Diagram of evolution of the (observable part) of the universe from the Big Bang (left) - to the present.

 (旧暦8月28日)

  神嘗祭
  昭和22年(1947)までの祭日。宮中祭祀の大祭で、その年の初穂を天照大御神に奉納する儀式が行われる。かつては旧暦9月11日に勅使に御酒と神饌を授
  け、旧暦9月17日(旧暦)に奉納した。明治6年(1873)の太陽暦採用以降は新暦の9月17日に実施となったが、稲穂の生育が不十分な時期であるため、明
  治12年(1879)以降は月遅れとして10月17日に実施されている。


  観測可能な宇宙、少なくとも距離にして約3億光年よりも遠い宇宙では、どの方向を見ても同じように見えます。
  この等方性は、宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background (radiation):CMB)においては更に正確になります。

  宇宙マイクロ波背景放射(CMB)は、宇宙を一様に満たす2.73K(-270.42℃)の黒体放射のことで、1964年にアメリカ合衆国の当時のベル電話研究所
  (Bell Laboratories)のアーノ・アラン・ペンジアス(Arno Allan Penzias, 1933〜)とロバート・ウッドロウ・ウィルソン(Robert  Woodrow  
  Wilson,1936〜 )によってアンテナの雑音を減らす研究中に偶然に発見されました。

  

  Penzias and Wilson stand at the 15 meter Holmdel Horn Antenna that brought their most notable discovery.

  現在では、ビッグバン宇宙論の最も重要な観測的証拠とされています。

  初期宇宙の気体を構成する分子が部分的または完全に電離し、陽子と電子に別れて自由に運動しているプラズマ状態では、放射は陽子や電子などの荷電粒子と頻繁に衝突を繰り返し、放射と物質は一体となって運動していました。

  温度が約4,000 K (3,726.85℃)に下がった時、陽子が電子を捕獲して中性水素原子を作った結果、放射は物質と衝突せずまっすぐ進めるようになり、この時の放射が宇宙膨張によって波長が伸びて、現在2.73K(-270.42℃)の放射として観測されたのが宇宙マイクロ波背景放射であると説明されています。

  

  All-sky mollweide map of the CMB(cosmic microwave background), created from 9 years of WMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe) data.

  さて、宇宙が等方性をもち、かつ一様であるという仮定により、時空の計量(リーマン幾何学において、空間内の距離と角度を定義する階数2のテンソル)が単純な形となる座標系を選ぶことができます。

  この計量は、1922年、旧ソビエトの宇宙物理学者・数学者のアレクサンドル・アレクサンドロヴィチ・フリードマン(Александр Александрович Фридман, 1888〜1925)が、アインシュタインの場の方程式の解として、膨張宇宙のモデルを定式化したことで知られています。

  

  Alexander Alexandrowitsch Friedmann(1888〜1925)

   1924年1月7日にブリュッセル科学アカデミーによって出版されたフリードマンの論文 “Über die Möglichkeit einer Welt mit konstanter negativer Krümmung des Raumes”『負の定数曲率を持つ宇宙の可能性について』において彼は、正、ゼロ、負の曲率を持つ3つの宇宙モデル(フリードマンモデル)を取り扱っています。

  



  やはり、1920年代に、アメリカ合衆国の数学者・物理学者ハワード・ロバートソン(Howard Percy Robertson、1903〜1961)とイギリスの数学者アーサー・ジョフリー・ウォーカー(Arthur Geoffrey Walker、1909〜2001)は、別々に、等方性と一様性の仮定のみから、アインシュタインの場の方程式の解を導いています。

  


  したがって、ほぼ全ての現代宇宙論においては、最低でも第1近似として、このロバートソン・ウォーカー計量を用いているとされています。

  ロバートソン・ウォーカー計量においては、3次元空間の構造は以下のように仮定します。
    ①3次元空間は、一様(homogeneousu)に広がっている
    ②3次元空間は、どの方向も同じ(等方的:isotropic)


  これら2つの仮定は、宇宙原理(cosmological principle)と呼ばれています。

  物理学では時空のひとつの点を表すのに、4つの座標を用います

  

  前にも示したように、計量テンソル(metric tensor)は、リーマン幾何学において、空間内の距離と角度を定義する階数2のテンソルです。
  ここで宇宙の計量を、

  

とおきます。
 
  物理法則がすべての可能な座標系に対して同一の形式で成立するためには、一般相対性理論(Allgemeine Relativitätstheorie)では、

  

  これは、宇宙原理(cosmological principle)に従うと、任意の点のまわりで球対称にならなければならないので、以前、シュバルツシルト(Karl Schwarzschild:1873〜1916)の特殊解を求めた時と同じように、球対称で自転せず、かつ真空な時空という条件は、以下のようになります。

  
  

  極座標

  ここで、空間的には球対称であるから、原点Oを中心とする極座標系を用いると理解しやすくなるので、

  

とおくと、

  

だから、

  

したがって、

  

  

  これは球対称のみならず、全時空で何も変わらない全く均質な状態である平らなミンコフスキー空間をあらわし、したがって、以下のように表せます。

  

  

  クリストッフェル記号

  

を計算すると、

  

さらに、

  

  

なので、

  

また、同様に、

  


  つづく


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Posted by 嘉穂のフーケモン at 20:53│Comments(0)数学セミナー
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