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2008年11月17日

クラシック(22)-ヴァーグナー(1)-マイスタージンガー

 

 Richard Wagner (Portrait von Cäsar Willich), um 1862 von Wikipedia.

 (旧暦 10月20日)

 19世紀ロマン派の最高峰として『歌劇王』の異名を持つヴィルヘルム・リヒャルト・ヴァーグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813~1883)の作品演奏に関しては、ドイツが生んだ20世紀前半を代表する史上空前の大指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler,1886~1954)を抜きに語ることは不可能といっていいでしょう。

 1886年にベルリンの教養人の家庭に生まれたフルトヴェングラーは、幼少の頃から、古代ギリシャやローマの文化、人文主義の世界、造形芸術や音楽に親しんでいました。
 少年ヴィルヘルムが最も崇拝したのはヴェートーヴェンの音楽でしたが、ヴェートーヴェンに対するこの気持は生涯変わることは無かったと云います。

 フルトヴェングラーは15歳の時に、「ヴァーグナーは本物の芸術家ではなく、彼のオペラの台本ほど安っぽいセンチメンタリズムに浸りきったものはない」と、徹底的に嫌っています。
 しかしそれから2年後、彼はヴァーグナーが「マイスタージンガーの中で、ヴェートーヴェン以降成し遂げられなかったことをやっていて、音楽的にもすばらしい」ことに気付いたと云います。

 それは、曲の中で繰り返し使われ、人物や状況を表す指導動機(Leitmotiv)と呼ばれる機能的メロディの手法や、歌と語りの両方の性格を持つ声楽演奏の一種で、音の流れがどこまでも流動し発展していく形で旋律は休みなく成長し溶け合って行く無限旋律(Sprechgesang)と呼ばれる構成上の手法を巧みに使用して、それまでの序曲、アリア、重唱、合唱、間奏曲を途切れのない一つの音楽作品へと発展させることに成功したことを指しているのでしょうか。
 
 さてヴァーグナーは、1850年にK. Freigedankという変名で、『音楽におけるユダヤ性(Das Judenthum in der Musik)』という論文を出版し、ユダヤ系ドイツ人の歌劇作曲家ジャコモ・マイアベーア (Giacomo Meyerbeer、 1791~1864)やドイツロマン派の作曲家、指揮者であったフェリックス・メンデルスゾーン(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy、1809~1847)を誹謗中傷しています。
 (http://mydocs.strands.de/MyDocs/05845/05845.pdf

 ヴァーグナーの思想は、反ユダヤ主義的な側面も持ち、その思想がのちにナチス・ドイツ(Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei)に利用されることにもなったため、イスラエルでは現在においてもヴァーグナーの作品を自由に演奏することはできず、他の国においてもその作品の上演に関しては、微妙なこともあるようです。  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 09:20Comments(0)音楽/クラッシック