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2006年09月07日

やまとうた(19)−葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の

 

 近江八幡水郷巡り

 (旧暦閏-7月15日)

 鏡花忌  『高野聖』や湯島の白梅でおなじみの『婦系図』などで知られる小説家泉鏡花の昭和14年(1939)の忌日。

 英治忌  『鳴門秘帖』、『宮本武蔵』、『新書太閤記』などで人気を博した時代小説作家吉川英治の昭和37年(1962)年の忌日。

 葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の 吹き来るなへに雁鳴き渡る (萬葉集 巻10−2134) 作者未詳

 葦邊在荻之葉左夜藝秋風之 吹来苗丹鴈鳴渡


 荻(オギ)はイネ科の多年草で、学名はMiscanthus sacchariflorus 、河岸や水辺などの湿地に群生し、薄(ススキ)にそっくりですが、その花穂は純白で大きく、長さ20〜40cmになります。 
 
 また荻(オギ)は、薄(ススキ)のような大きな株をつくらず、地下茎を長くのばし、その地下茎から茎が1本ずつ生えるので、大きな群落を作ります。

 水辺では、水深の深いところから、蒲(ガマ:Typha latifolia )、真菰(マコモ:Zizania latifolia Turcz)が群生し、水深が浅くなるにつれて葦(アシ:Phragmites communis)の群落となり、岸から離れた所に荻(オギ)の群落が広がり、乾いたところで薄(ススキ:Miscanthus sinensis)の群落に移行するようです。
 
 萬葉集第1の歌人で歌聖と呼ばれ称えられている柿本人麻呂(660年頃〜720年頃)の歌集である『人麿歌集』にも小異歌が見える次の歌は、前記の歌を原歌としているようです。

 垣ほなる荻の葉そよぎ秋風の 吹くなるなへに雁ぞなくなる(新古今集 497)

 また、

 秋風に山飛び越ゆる雁がねの 声遠ざかる雲隠るらし (萬葉集 巻10−2136) 作者未詳

 秋風尓山飛越鴈鳴之 聲遠離雲隠良思

 を原歌として人麻呂は、次のような歌も残しています。

 秋風に山とびこゆる雁がねの いや遠ざかり雲がくれつつ(新古今集 498)  続きを読む

Posted by 嘉穂のフーケモン at 23:30Comments(0)やまとうた