2005年09月23日
歳時記(8)−秋(2)−中秋の月
中秋の名月
(旧暦 8月20日)
「中秋」とは陰暦の8月15日のことで、「仲秋」とは陰暦の8月葉月のことを指す言葉だそうですから、陰暦8月15日の名月は「中秋の名月」と記述することが正しいようですね。
さてお月見という風習は古くから有り、中国では「観月」あるいは「玩月」などと云われてきたようですが、この風習が陰暦8月15日の「中秋」の満月に固定されたのは、唐代以降のことだそうです。
日本ではお月見といえば「十五夜お月さん」の8月15日だけでなく、9月13日にも月見をする風習があり、こちらは「十三夜」、「後の月」と呼ばれています。
童謡作詞家として有名な野口雨情(1882〜1945)には、大正9年(1920)9月に児童文学誌『金の船』に発表された「十五夜お月さん」という詩があり、昭和35年に藤島恒夫の歌でヒットした「月の法善寺横町」の歌詞にも、「月も未練な十三夜」とありますから、昔の日本人には「十五夜」や「十三夜」というのは、季節感を表す生活の一部だったのでしょう。また、古いところでは、昭和16年(1941)に発売された石松秋二作詞の『十三夜』という唄もありますね。
河岸の柳の 行きずりに ふと見合わせる 顔と顔
立ち止まり 懐かしいやら 嬉しやら
青い月夜の 十三夜
作詞者の石松秋二氏は、『満州娘』や『九段の母』などを作詞していますが、終戦時に満洲に侵攻してきたソ連軍により殺害されたそうです。 続きを読む