2005年09月10日
パイポの煙(22)−約束暗号(2)
旧称「新高山」 台湾玉山東峰(左 3,869m)と玉山主峰(右 3,952m)
(旧暦 8月 7日)
去來忌 俳人向井去來の宝永元年(1704)の忌日
パイポの煙(21)−約束暗号(1)のつづき
「ニイタカヤマノボレ一二○八」というGF(General Fleet:聯合艦隊)機密第六七六番電、GF電令作第一○号は、「X日ヲ十二月八日午前零時トス」というあらかじめ打ち合わせておいた約束暗号でしたが、何故この日がX日でなければならなかったのかという疑問は当然あります。
昭和16年(1941)12月2日午前10時から開催された大本営政府連絡会議において開戦を8日(日本時間)と決議し、午後2時から杉山参謀総長(陸軍)、永野軍令部総長(海軍)が参内して、連絡会議で決議した12月8日午前零時以降の武力発動を天皇に報告し、允裁を仰いで裁可を得ました。
杉山元参謀総長
永野修身軍令部総長
このとき永野海軍軍令部総長は、「X日十二月八日決議の理由」について天皇に上奏しています。その記録によれば、
天皇 海軍ノ日次ハ何日カ。
永野 八日ト予定シテ居リマス。
天皇 八日ハ月曜日デハナイカ。
永野 休ミノ翌日ノ疲レタ日ガ良イト思ヒマス。
12月8日は、日本時間や陸軍の緒戦地であるマレーや香港では月曜日ですが、ハワイでは日曜日でした。
天皇の下問にたいし、咄嗟に時差の換算を失念した奉答になりましたが、このことが巷説、「月曜の朝でございますと、日曜日にアメリカ陸海軍の将兵は、遊びつかれぐったりしておりますので」と奉答したとされて、海軍部内で「ぐったり大将」という仇名がついたという何とも笑うに笑えない伝聞もあるようです。 続きを読む