2005年06月04日
やまとうた(10)−言問はぬ木すらあじさゐ諸茅(もろち)らが
あじさゐ 学名:Hydrangea macrophylla
(旧暦 4月28日)
大伴宿禰家持が久迩の京より坂上大嬢に贈れる歌五首
言問はぬ木すら味狭藍(あじさゐ)諸茅(もろち)等が 練(ねり)の村戸にあざむかえけり (大伴家持 巻四 773)
物を言わない木でさえ、色の変わりやすい紫陽花や諸茅(もろち)などの、一筋縄では行かない心に欺かれたと云うことです。(まして人間である私は、変わりやすいあなたの心に欺かれてとまどっています。)
「諸茅(もろち)」は何か変化しやすい植物と思われ、「練の村戸」はよく練られた心、転じて屈折した一筋縄では行かない心をさすようです。
一応恨み言を述べていますが、坂上大嬢は後に家持の正妻になっています。
万葉集には紫陽花を詠んだ歌は2首しかありません。 続きを読む