2005年05月26日
物語(2)−源平盛衰記(1)−菖蒲前(あやめのまへの)事
歌川広重 『名所江戸百景』 堀切の花菖蒲
(旧暦 4月19日)
五月雨(さみだれ)に 沼の石垣水こえて 何(いずれ)かあやめ引(ひき)ぞわづらふ
(源三位頼政)
旧暦では、4月から6月にかけての時節を夏としています。
あやめぐさは、万葉集では夏の草花で12首詠み込まれていますが、現在のサトイモ科の多年草の菖蒲(しょうぶ)のことで、その独特の香りから邪気をはらうと考えられてきました。
現在、ショウブという場合は、たいていハナショウブ(花菖蒲)のことを言います。学名はIris ensata、アヤメ科アヤメ属の花ですが、同属にアヤメ(学名:Iris sanguinea)、カキツバタ(学名:Iris laevigata)もあり、どれがどれだか素人にはさっぱりわかりません。
全く分けが判らず、思わず「責任者呼んで来い!」と叫びたくなります。
そのため、古来から、「いずれが菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」と云われ、「美しくて甲乙付けがたいこと」を言う時の形容句として用いられてきましたが、この頃では、「どっちもどっち」の意味で使われているのではないかと愚考致しております。 続きを読む